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プロローグ
まだ肌寒い春の夜。
星空の下に二人の高校生くらいの男女がおりその後ろにはバイクが止めてある。
青年は顔が整っており背はそんなに高くない。
少女の方も顔は整っており背は青年と同じクライマックスだろう。
黒い髪の毛が美しく風にたなびいている。
「綺麗だね」
と青年が無表情で呟くと
少女の方が
「ん、わたしが?」とこちらも無表情で呟いた。
二人は無表情で見つめあい少し間があくと青年が表情を変えずに
「そろそろ帰るか」と言った。
少女の方も無表情で頷くが少し頬を膨らませているようにも見える。
青年が少女にヘルメットをかぶせ、自分もヘルメットをかぶりバイクに跨がりエンジンを掛け少女も後ろに乗った。
そして青年が少女の腕を自分のお腹の前に回し掴ませた。
青年と少女がヘルメットのシールド越しから星空を一瞥するとバイクを走らせて去って行った。
青年と少女がいなくなった場所ではバイクのマフラーの乾いた音が星空の下で響いていた。
これはそんな二人の日常の物語......