無窮〜第5章〜
【第5章】
朝日が相変わらず、眩しい。雀の鳴き声とカーテンから差している朝日に寄って、朝を迎えているのを知る。ちょっと、うたた寝していたつもりが知らぬ間に数時間の睡眠を得ていた様だ。少しは、体の気怠さが楽な感じがする。
寝付く前にあった事を脳内で思い出す。
静かな寝起きだったが、色んな情報を一気に思い出した瞬間だった。
【黒い人型の靄】が、私の郵便ポストに何かを投函していたのを思い出す。全身が、その瞬間を思い出し怖さでカタカタと震えだす。
郵便ポストを見ないと、あれは睡眠不足によるタダの疲労により見間違えただけなのかも知れない。
きっと、そうだ!
そう思った時には、ベットから足を下ろしていた。まだ、体が少し怠いが歩行には問題は無い。
ユックリと寝室を出る。そのまま、リビングを抜けて廊下に出て玄関に向かう。
きっと、あの【黒い人型の靄】からの手紙が届いてないと言う、希望を得たかったのかも知れないが、それは郵便ポストを開けて、脆くも崩れ落ちた。
黒い封筒が、郵便ポストを開けたらあったのだ。それは、そこにあるべき形の様に黒い悪意を放っていた。
「嘘でしょう、あれは本当にいたの?」問う相手がいない代わりに、絶望に支配されていく。
自然と奥歯を噛み締めていた。ギリギリと。
グッタリとした足取りでリビングに戻る。起きてから、水分補給もしていなかった為に酷く喉が渇いている。台所に向かい、蛇口から水を出す。コップに入れて、リビングのテーブルに戻る。
テーブルの上には、郵便ポストに投函されていた黒い封筒以外にチラシ等、新聞等色んな郵便物が山盛りに、私を待ち構えていた。
真っ先に、黒い封筒を開けてみる。
以前送られて来た、黒い封筒より厚みがある。そこに疑問に感じながら開けてみた。開けてみると異様な臭いが鼻をつく。その鼻が曲がりそうな臭いに鼻を押さえたが、思わずゴミ箱に込み上げてくる吐き気に耐えれられずに吐いてしまった。
黒い封筒の中には、便箋と黒い袋が入っていた。黒い袋が気になる為開けてみるが、開けて吐き気がより増した。黒い袋の中は、朝日と部屋のライトで中身が鮮明と見えたからだ。
中にあったのは、おびただしい血だ。
時間が経過をしていない為に、凝固がされていない状態で入れられてて思わず驚き袋から零しそうになった。その血の中に、何かが浮いている。
さすがに、素手で何かを掴むゆうきは無い為に台所にある割り箸で、その何かを見てみた。
人の爪だった。
それを見た時、この封筒の送り主の悪意を肌で感じて、足が震えだした。
その爪を、袋に戻して使った割り箸をゴミ箱に捨てる。
袋のは、ジップロック形式で何回かのロックで液体が溢れない様にされている袋の為、その袋を密閉して他の袋に入れて、二重、三重にして、とりあえず自分の視界に血がモロに見える、溢れると言うのを回避してみた。
落ち着け自分と、テーブルに置いてたコップの水を飲もうとするが、マトモに口元にコップを持って行けないぐらいに、自分の体の動揺は現れてた。
何回か、口元に持って行き何回か零しながら、やっと水を飲めて体の震えが落ち着いたのを感じて、便箋を読んで見ようとする。
しかし、読んでみても、私への怨念、憎しみ、私への悪意に満ちた文面は前回と同じ内容であった。最後に【怨】と書かれていた。悪意の塊の主からのエスカレートしていく悪意にドンドン頭の中の冷静さが消えて行くのが分かる。猟奇的なレベルの悪意に椅子からバランスを崩して倒れそうであった。
視界が崩れ行く中、チラシの中に見覚えのある紫の色を発見する。
「そんな、まさか、嘘でしょう……」気力で、チラシの山から取り出した紫の物は、【擁護者】からの封筒であった。差出人が書かれていない封筒で、宛名もない。
頭の中がパニック状態な中、監視カメラの助言をくれた【擁護者】からの文面であると信じて、便箋を開けてみる。完全に藁にも縋る人間状態だった。
「監視カメラを無事に付けられた様だが、安心するのは甘い。まだ、君は玄関先の監視カメラしか見れていない様だが、私が指摘したい意味は理解出来るか?そう、君が設置をしたベット側のカメラも確認するべきだと警告をしよう。出来るなら、昼間に見るべきだ」
その警告を読んで、戦慄が走った。