一章の訂正
【一章】
夏場の東京の街並みは、相変わらず暑過ぎて蜃気楼みたいなのが見える。
夏場に弱い私には拷問に思える。これだけ、暑い中を歩いているのには、事情があった。会社で、お局の機嫌を取り忘れた為に、仕事の必要な書類を回して貰えずに納期が間に合わずに、取引先の会社に謝りに行っってるのだ。
「失敗したな……何で、こんな事になったんだろう」溜め息しか出ない。
いつもみたいに、玄関先に差出人不明の手紙を取りに行った時の事。ドアの前で、目を疑った……玄関の扉の前に、見慣れない手紙の封筒を見つけたからだ。いつも来ていた封筒は真っ白な封筒だったが、今回は紫色の封筒だったからだ。
「えっ、色が違う」怖る怖る、封筒を開けてみた。
やっぱり、差出人不明なのは変わらない。でも、入っていた文面は違っていた。今までの様に起きてから寝るまでの前日の私の様子を書かれている文面では無かった。
【君はいつも見られている事に苦痛を感じないのか?私は[擁護者]】
それだけである。意味が分からなかった。今まで送られて来ていた文面とは明らかに違う。
「えっ、何で?」動揺を隠しきれない。見えない相手に二回目の恐怖感を感じた。
【監視者】と【擁護者】頭の中でグルグルと、この言葉が回り始めて止まらない。私の思考を遮っていく。立ってられなくなった。足から崩れ落ちる。だが、目だけは部屋に飾ってる時計が目に止まる。もぅ、出社しなければならない時間だ。
床から立ち上がり、荷物を取り玄関に赴く。服は着替えてた。それが、安堵感を与えた。こんな所が、唯一の救いである。
朝から、こんな事があったからモンスターに愛想を振りまくと言う責務であり、自分自身を守ると言う自己防衛を怠ったのである。
「どうなるの、こんな事になっていて」取引先に謝りに行く、自分の身体が普段以上に鉛に感じた。
東京のビルの中を、灼熱な太陽に照らされながら歩く。
「ゾンビみたい、こんなんじゃ」クスッと苦笑いをした後、私はビルの中を歩く。
何処に向かってるの?私?