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第2話

放課後

武瑠は先生の終わりの合図とともに教室を飛び出した。

「早く家に帰って優の歌をもう一回聞こっと」

そうして優の歌詞を頭で流しながら、走っていたからだろう。

階段を下りようと角を曲がった時、誰かにぶつかって、お互いに飛ばされた。

運が良かったのか、ぶつかった方は階段から落ちることなく、尻餅をついていた


「あ、おい、大丈夫か?」

俺は心配しながら声をかけた。

すると、そのぶつかった人は顔をあげると、満面の笑みを浮かべ

「うん!僕は大丈夫だよ~。君こそ大丈夫??」

と言われた。

俺は少し戸惑った。

なぜなら、そのぶつかった人は男子の制服を着てはいるが、声は綺麗な女声

顔は男では絶対にないような可愛さで、それはまるで昨日見た優そっくりだったからだ。

そしてあまりの驚きに「ゆ、優?」とボソッと呟いてしまった


すると、その人は一瞬焦りのような顔を見せたものの直ぐにさっきの表情に戻ると

「あ、それ僕よく言われるんだよね~。なんか似てるらしいよね!僕とその人」


「あ、ああ、そうだよな!!いやぁ、あまりに似てたからさ。ごめんな。」


「あはは、謝らなくてもいいよ~。芸能人と間違えられて僕も幸せだしね」

その人は完全に否定していたが、何度見ても同じ人にしか見えなかった。

しかし、これ以上追及したら、嫌がるだろうな。そう思って俺はその場を立ち去ろうとした。


すると、その人はあることを思いついたかのように、笑みを浮かべると

「あのさ、その優さん?の歌って今、持ってる?僕、似てるってはよく言われるんだけど、まだその人を見たことも聞いたことがなくって、君がその人の歌を持っているなら聞いてみたいなぁって」


俺は、一瞬どうしようかと迷ったが、この人が優じゃなかったら、これをきっかけにファンになってくれたら、優も喜ぶかな。とあほみたいなことが頭をよぎってしまい、後のことを何も考えずに

「今は持ってないけど、家にならあるから、明日持ってくるよ」と言ってしまった。


その人は少し考えた後、

「あ、それなら少し待ってて、これを先生のところに持って行ったら帰れるから、君の家で聞かせて~。だからここにいてね」

そしてすぐに、立ち上がり持っていたものを取ると、その人は職員室に続く廊下を歩いて行った。


俺は唖然とした、

えっ、何この展開!?あの子、女の子なのに今会ったばかりの男の家に来るって、普通じゃないよな。いや、でも、それだけ自分に似ている芸能人が気になるのか。いや、そもそもなんで男子制服を着ていたんだ!?と心の中で問答をしていると、さっきの人がカバンを持ってこっちに戻ってきて


「ごめんね。それじゃあ、行こっか?あ、そういえばまだ自己紹介してなかったね。僕の名前は上内 空って言うんだ。よろしくね」


「あ、あ、おう、そうだな。行こうか。あ、俺の名前は葉山武瑠だよ。よろしく」


自己紹介までされてしまった俺はしかたなく、空を家に連れて行くことにしたのだった。

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