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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
王立アカデミー編
9/74

竜の医者

「お母様、アズールがまた熱を出したわ」


昔は、いつもそう言ってセノーテが母を呼びに行った。


「どうして、ぼくだけ……いつも、ゴホッ、ゴホッ」


泣いていたアズールに


「あなたは、お父様の力を濃く受け継いでいます。誇りに思いなさい」


母はいつも言っていた。


(懐かしい……なんで、こんな夢)


バイオリンの音。


(これは、白の曲だな)


そういえば、母もよく弾いてくれた。

医務室のベッドの上で横になっていたアズールは、上半身を起こす。


そして、音のする方へ向う。


「お、起きたか」


中庭でバイオリンを弾くククルを見て


「貴様……」


アズールは顔を顰める。


「オレの知り合い……いや、恩人」


うまい言葉が見つからないから、知り合いでいいや、とククルは言うと


「お前と同じ症状で、よく弾いてやった」


「僕の為に弾いてくれたのか?」


アズールに聞かれ


「お前、元気なさそうだからな」


だから、発作が起きた時は白を弾いてやる、とククルが答える。


「ありえないな。そんなことをして、何の得がある」


ククルはバイオリンを弾くのを止め


「得なんて、必要ないだぜ。オレたち竜奏医師(ドラゴン・ドクター)は、竜の為の医者だ。竜の為に音楽を奏でられれば、本望なんだからさ」


あっさりとした返答。


アズールは目を丸くすると


「ぷ、ははは……」


口元をおさえながら笑い出した。







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