不協和音
「貴様、まだ本調子じゃないな」
東屋の椅子の上で、黒猫アズールが片目を開いて言った。
ククルはバイオリンを弾く手をとめ
「……今のはどうだった?」
「なんというか体がブワッとしない」
貴様の音は聞くだけで心に響いた、とアズール。
「やはり、今日は変だぞ」
「……ごめん、アズール」
でも約束は守るから、とククルは去って行った。
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深夜。王立アカデミー・講堂
ふくろうの鳴き声が、不気味に響き渡る。
静かに扉が開いた。
「……ワタシを呼び出したのは、アナタですね」
小柄な黒フードの人物。
「……」
椅子から立ち上がり、ゆっくりとコアトリクエの方に歩み寄る。
「やはり、あの時……聞いていましたね」
「照合の結果ーー不要と判断」
抑揚のない。機械的な音声。
月明かりが雲へ遮られた一瞬ーー
鋭い銀光が、貫いた。
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「……避けないとか、馬鹿じゃねぇの」
ミクトラン・鳥籠の私室で、ウィツィは目を覚ました。
体が鉛のように重い。
(まさか、ここまで他人の意識に引きずられるとは思わなかった)
これは兄さんのは方は完全に主導権奪われてるな、とウィツィは呟いた。
「記憶は共有……って、冷たい」
頬に、水で濡らしたタオルがあてられた。
「大丈夫ですかぁ?」
ステラがウィツィの顔を覗く。
「雪洞まで案内した女……」
「ステラですよぉ。覚えていてくれたんんですね」
そう言えば、一時的にヨアルリが洗脳を解いている。
隣の部屋に寝かせていたはずだが、勝手に出歩いているようだ。
糸は付いてるので、ヨアルリには行動は筒抜けだろう。
「立場、解ってる? 人質だぞ人質」
「でも、他にすることが……」
全然、眠くありませんし、とステラ。
(そりゃ寝てたようなもんだし……ちょっとは、緊張感もちなよ)
ウィツィは、ため息をついた。




