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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
アルメニアへ
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不協和音

「貴様、まだ本調子じゃないな」


東屋の椅子の上で、黒猫アズールが片目を開いて言った。


ククルはバイオリンを弾く手をとめ


「……今のはどうだった?」


「なんというか体がブワッとしない」


貴様の音は聞くだけで心に響いた、とアズール。


「やはり、今日は変だぞ」


「……ごめん、アズール」


でも約束は守るから、とククルは去って行った。



✳︎✳︎✳︎



深夜。王立アカデミー・講堂


ふくろうの鳴き声が、不気味に響き渡る。


静かに扉が開いた。


「……ワタシを呼び出したのは、アナタですね」


小柄な黒フードの人物。


「……」


椅子から立ち上がり、ゆっくりとコアトリクエの方に歩み寄る。



「やはり、あの時……聞いていましたね」


「照合の結果ーー不要と判断」


抑揚のない。機械的な音声。



月明かりが雲へ遮られた一瞬ーー


鋭い銀光が、貫いた。



✳︎✳︎✳︎


「……避けないとか、馬鹿じゃねぇの」


ミクトラン・鳥籠(チェチェンイッツァ)の私室で、ウィツィは目を覚ました。


体が鉛のように重い。


(まさか、ここまで他人の意識に引きずられるとは思わなかった)


これは兄さんのは方は完全に主導権奪われてるな、とウィツィは呟いた。


「記憶は共有……って、冷たい」


頬に、水で濡らしたタオルがあてられた。


「大丈夫ですかぁ?」


ステラがウィツィの顔を覗く。


「雪洞まで案内した女……」


「ステラですよぉ。覚えていてくれたんんですね」


そう言えば、一時的にヨアルリが洗脳を解いている。


隣の部屋に寝かせていたはずだが、勝手に出歩いているようだ。


(パス)は付いてるので、ヨアルリには行動は筒抜けだろう。



「立場、解ってる? 人質だぞ人質」


「でも、他にすることが……」


全然、眠くありませんし、とステラ。


(そりゃ寝てたようなもんだし……ちょっとは、緊張感もちなよ)


ウィツィは、ため息をついた。

















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