竜王の決意
「いいの? 竜王はオレから見ても……」
かなりの高齢。それも弱っている。
「父上が、決めたことだ」
ククルが眠っている間に、話は進められた。
テスカポリトカの一部が、黒猫のルナの中に一時的に入っていた影響でテスカポリトカとの間に魂の抜け道が出来ていたらしい。その影響でアズールの魂は追い出され、猫の中に入ってしまったとコアトリクエ校長から説明された。
「アズール、心配しましたわ」
「く、苦しい……」
目に涙を浮かべたセノーテに、黒猫アズールは思いっきり抱きしめられた。
その様子を見て
「だが、猫になってるとは思わなかった」
やっぱり好物はカツオか煮干なのか、とズレたことを悩むグラン。
「あ、兄上……」
王立アカデミーの生徒ステラと風竜ウェルテクスが、テスカポリトカ側へと連れていかれ、二重楽器二つが向こうに渡っている現状。
竜王フナブ・クーは老いた巨体で
「アルメニアには、我も行こう」
子供たちとコアトリクエに語った。
その場にいた誰もが、否定することは出来なかった。
まるで、自分の死期が近づいているのを悟るかのようにーー
「ククル、お前の言いたいことは俺たち兄弟が一番わかってる」
テスカポリトカの力を削ぐためにも、アズールは自分の体を取り戻すことが優先。
「その、力を貸して……くれ」
「え、よく聞こえなかった」
わざとらしく聞き返したククルに
「貴様、いい加減にしないと……追い回すぞ」
距離を詰めるアズール。
「悪かったって、それ以上近づくなよ。協力は、ちゃんとする」
友達ってそういうものだろ、と腰に手を当てククルが胸を反らす。
「これから、バイオリンの音合わせするけど」
「なら、一曲弾いてくれ」
そう言って、黒猫アズールは東屋の椅子へ移動。
「分かった。寮まで、取りに行ってっくる」




