再会
「声が……」
これで話すことができる、とアズール。
「なんで、クソ猫に……」
距離をとるククルに
「オレにもよく分からないが……って、そんなに離れなくていいだろ」
黒猫姿のアズールはため息をつく。
「状況は、だいたい聞いた」
この姿は情報を集めるには都合がいいとアズールは言うと
「しかし、喋ることができないのは不便だな」
「と、とにかく無事で、よかったね」
距離を取りながら、視線を合わせようとしないククル。
「この姿が無事かどうかはともかく……本当、猫が嫌いだな」
嫌なことでもあったか、とアズール。
「オレが昔に飼ってた小鳥、食べたんだよ……」
それ以来どうもダメだと、ククル。
「ミクトランでは、普通の生き物が珍しいから」
知り合いが拾ってきたのを、大事ににしていた。
しかし、ちょっと目を離した隙に食べられていた。
「オレが、悪かったってのもある」
「そうだったのか……」
トラウマになるか、と黒猫のアズールは深いため息をついた。
「そうだ、お前の知り合いイツトリって人じゃないか?」
ククルは目を見開くと
「あの人、生きての!?」
「テスカトリポカ中で……色々と説明してもらった」
お前の体のことも聞いた、とアズールは答える。
竜王フナブ・クーと戦った際の傷が完全には癒えず、テスカトリポカはイツトリの発作の治療だと偽り、自らの中へ取り込んだ。
自分とウィツィを作った人間の死。
「……オレには、許せなかった」
だから、テスカトリポカを壊してミクトランを出た。
そして、マティアに助けられた。
「ひょっとして、アズールがクソ猫の中に居るのはイツトリの影響でかも」
何らかの影響でクソ猫との間に繋がりが出来たのかもしれない、とククルは言う。
「相談するなら、コアトリクエ校長だろうな」
アズールは頷くと
「……確か、マティア殿のお見舞いに行くんだろ」
「あ、そうだった。病院は、動物立ち入り禁止だから。入り口で待ってる?」
ククルが言うと
「部屋の場所さえ分かれば、忍び込める」
猫は身軽だ、とアズールが言った。