竜王フナブ・クー
「この少年は、どうしたんだ?」
「彼名前は、ククルです」
辺境への神獣討伐の際、襲われていた所を助けたとマティアは説明。
「まあ、あれぐらい平気だったが」
フハハハハ、と馬鹿笑いをするククル。
「ククル君、静かにしてくださいねぇ」
笑顔の怖いステラに言われ
「お、おう」
ククルは黙る。
「黒の楽譜を、探しているようです。それと、得体の知れない的に追われているようで……」
騎士団の方で保護するべきと判断し、連れて来ましたとマティアは続ける。
「黒の楽譜に、得体の知れない敵か……」
グランは顎に手をあてると
「よし、父上に取り次ぐ」
竜王の間へ付いてくるよう、ククルに促した。
兄の決定を聞いて
「いいのですか。そんな簡単に……」
セノーテは困惑。
「お前の言った通り、彼は本当に鳥かもしれないぞ」
「それは、例えで……」
ククルの髪の後ろについている、鳥の羽の装飾品を見て思っただけだ。
「いいか、無礼のないように。それと、敬語だ」
マティアに口うるさく言われ
「わかってるって」
ククルは、両手で耳を塞いだ。
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竜王の間
「失礼します。父上」
グランとセノーテに続き、ククルは中に入る。
「ほう、珍しい客人だ」
厳格な声。
それを聞いて、自然とククルは背筋を伸ばす。
玉座に居るのは、黄金の竜。
竜王フナブ・クー。
(これが、竜王……)
平静を保つククルを見て
「以外と、落ち着いてますのね」
セノーテが言う。
「ふふん、オレは鍛えているからな」
腰に手をあて、ククルが言う。
「父上、どうでしょうか。俺は……そうだと思っていますが」
「うむ……」
息子の言葉に、フナブ・クーは頷くと
「主は、ケツァルコアトル族との混ざり者だな」