手掛かりを探して
「残り二個の二重楽器を揃える……」
竜都シャングリラ帰還後。
ククルは、竜王フナブ・クーへ謁見。
そこで、黒の楽譜があるアルメニアには全ての二重楽器が必要になると教えられた。
「竜騎士達で、二重楽器がありそうな場所を手分けして捜索している」
メルルカの雪洞のような場所にあったことを考えると神獣の危険が伴う、とグラン。
「……その捜索に、オレも参加できな、ませんか」
「君がアズールのことで責任を感じているのは分かる」
今は我々を信じて待って欲しい、と止められた。
城内の廊下を歩きながら
「このまま、アカデミーで授業を受けて大人しくしてるなんて出来るわけない。こうなったら、こっそり抜け出して……」
「そういうことは、あまり大声で言わない方がいいですわよ」
前方から歩いてきたセノーテが、嗜めるように言う。
「心配なのは、私も同じです。一人で、考え込むものではありませんわ」
「わ、悪い……」
アズールの肉親であるグランとセノーテが、一番辛いはずなのだ。
「目的地も定めずに、無闇に探すのもよくありませんわ」
目指すなら、イグニス砂漠かレイクホルトの古城。
「火竜の騎士と水竜の騎士が兄様に報告するのを、盗み聞きしましたの」
「お前、悪い奴だな」
眉を寄せるククル。
「問題は、目的地が東と西に分かれている点ですわね」
「メルルカは寒かったし……ちょっと暖かい所がいいかも」
「なら、イグニス砂漠にしましょう」
旅支度を整えたら竜舎の裏に集合、とセノーテは言った。