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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
プロローグ
3/74

竜都シャングリラ

(人間には不可能……)


マティアは、横目でククルを見る。


あの男の口ぶりからすると、ククルは黒の楽譜の断片を弾いたようだが。


「で、こいつどうする?」


変なのに絡まれてるんだろ、とウェルテクスが言う。


「そうだな、騎士団の方で保護を……」


探している黒の楽譜もきになる。


マティアの提案に


「竜王様に、会わせた方がいいかもな」


ウェルテクスが言った。


勝手に話を進めているのを見て


「オレは、お前らと一緒に行くとは言ってないぞ」


憮然とした表情のククル。


「キミは、一人で黒の楽譜とやらを探せるのか?」


マティアが言うと


「うっ……」


ククルは顔を顰める。


「竜都シャングリラに行けば、必要な情報を手に入れられる可能性もある」



「仕方ないな。じゃあ、ちょっとだけ……寄ってやる」


マティアの言葉に、ククルが頷く。


「ウェルテクス、そろそろ行けそうか?」


「ああ、調子はいい」


ウェルテクスは両翼を広げると


「マティアとステラは背中へ。クソガキは、俺の手のひらだ」


「俺だって、背中がいい!!」


あとクソガキって呼ぶな、とククルは頬を膨らませる。


「慣れて無いと危険ですよぉ」


ステラが優しく窘め


「地上に、落下したいなら止めはしないが」


マティアが脅す。


ククルは顔を強張らせ


「て、手のひらで我慢します」


「そんじゃ、振り落とされるなよ」


三人を乗せたウェルテクスは、北へと飛翔した。



✳︎



眼下に広がる、建物。


そして、泉の中央に聳える荘厳とした白い城。


「ここが、竜都シャングリラ」


呆然としているククルに


「何だ? ビビったか」


茶化すように、ウェルテクスが言う。


「ふん、別に……対したことねぇ」



このまま竜舎の方に着陸する、とウェルテクスが高度を下げる。


その時、城の方から視線を感じ


「……」


ククルは振り返る。


(うそ、気付かれた?)


金髪の少女は慌てて、身を隠した。


「む、む、気のせいか」


オレ、けっこう勘は鋭いはずだけど、とククルは言う。



「どうかしたのか?」


マティアが聞くと


「誰かが、熱い眼差しをオレに向けていた。やはり、この溢れ出るイケメンオーラを抑えられないのは、罪深いことだな」


フハハハハ、とバカ笑いのククルが答える。


「大人しくしろ。お前、声デカいんだよ」


バイオリン弾いてる時とは大違いだな、とウェルテクス。


「あはは……ククル君、面白いですねぇ」


苦笑いするステラ。


「……それは、気のせいではないか」


マティアは、呆れて溜息をついた。












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