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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
王立アカデミー編
25/74

ネブラ雪山へ

白銀の都市メルルカ


三方を山で囲まれ、この時期はスキーをする観光客が多い。



「お待ちしていました」


ステラの父、クロスフォード子爵が頭を下げる。

雪崩が起きたのは、南のネブラ雪山。

調査に向かった所、山頂の方は雪が深く進むことが出来ない状態。



「やはり、 ステラも……?」


マティアの言葉に



「ええ、雪洞に興味を持っていた若い青年を案内していたのですが」



クロスフォードはククルが付けている羽飾りを見て



「ちょうど、彼と同じような羽飾りを付けていました」



「え、オレと同じ……」


何か考えるように、眉を寄せたククル。


「……貴様の親戚か?」


アズールが訪ねると



「どうだろ、ケツァルコアトル族は鳥籠(チェチェン・イッツア)から出たがらないし」



でも、雪洞に興味持ってたと言うのは気になる。



「では、我々はこれからウェルテクスに乗って山頂に向かいます」



クロスフォード子爵に用意してもらった厚手のコートを纏い、三人はウェルテクスに乗って山頂に向う。







✳︎✳︎✳︎




「ステラお姉ちゃん、怖いよ」


「ボクたち、どうなるの?」



泣いている女の子と男の子をだきしめ



「大丈夫、もうすぐ助けが来ますから」



ステラが励ます。



「……近いな」



雪洞の奥へ向かおうとする眼鏡の青年。



「あの、奥は危険ですよぉ。ここで一緒に待ちましょう」



「もともと、僕はここまで案内してもらえば十分だった」



「……あ、待って」



ステラが止めるのも聞かず、青年は行ってしまった。



(最初は、何だかククル君と似てると思ったけど……)



性格はまるで違う。





✳︎✳︎✳︎




「君は、ウェルテクスの回復を」



「了解」



力を使い披露しているウェルテクスに、ククルはバイオリンで青の音を奏でる。



「すいません、殿下。力仕事を……」



「このくらい、平気だ」



雪洞を塞いでいる雪を、スコップを使い二人で慎重に取り除いていく。



差し込まれた微かな光を見て



「あ、ステラお姉ちゃん!」




「ええ、助けが来ましたよぉ。マティア様、ありがとうございますぅ」

それにアズール様とククル君も、とステラが言う。



「アズール、オマケ扱いだな」


フハハハハ、と笑うククルに



「貴様もな」



アズールは、呆れ顔。



「確か、青年も一緒と聞いて居たが。ひょっとして、怪我を?」



「ううん、お兄さん一人で奥に行っちゃった」



「ステラお姉の言うこと、聞かないんだもん」



子供たちが、口々に言う。




「放っておく訳にもいかないだろう」



「マティア殿、ここは冷えます。ステラ先輩と、子供たちはウェルテクスで地上に下ろした方が」



アズールの意見に



「そうだな。ステラ、外に居るウェルテクスに事情を説明してくれ」

私たちは、これから雪洞の奥に向かった青年の後を追う、とマティア。



「分かりましたぁ。気をつけてくださいねぇ」






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