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遭遇

「ああ…最悪だ。もうダメだ、ここで俺は死ぬんだ。もう終わりだ。」


昼下がりである。そして夏であるから、無論暑い。


「ああ、地面が揺れている。終わりだ。この世の終わりなんだ。これが運命なんだ。うう…」


アスファルトの坂道がだらだらと住宅街の中央に続いている。そこをだらだら歩く男。


こいつが主人公と言うんだから情けない。大体それはただの陽炎だ。


「は、陽炎かっ!これは不吉だぁ…うう」


聞こえたか知らないが気づいても尚呻くあたり、この男どうしようもない性格である。

男一人、むせかえる様なアスファルトの匂いに包まれ、我ここに有りと主張する太陽に身を隠すように歩いていく。心無しかふらついてるが大丈夫か?


男が熱中症とのギリギリの戦いに喘ぎながら10分程歩いていると、閑静な住宅街には似つかわしくない、青と言うよりは濃紺の外壁のアパートが見えてきた。まさかとは思うが男の自宅である。


近くまで来るとその外壁だけではなく、屋根も濃紺で塗りつぶされている事が分かる。周りのペールトーンの家に囲まれ、陰鬱な雰囲気出まくりである。


男は半死半生の体でアパートの扉の鍵を開ける…はずだった。


「…開いて、る?」

溶けたバターの中で鍵を回した様な、手応えの無さに男は手を止めた。


「鍵かけ忘れたかな…」

男は不思議の思いながらもドアを開けた。


「遅い!」

…誰か、いた。


「すいません部屋間違えました!」


男は慌ててドアを閉めた。

「(目があった。何かいた。いや、何か美少女的な人がいた。ていうか金髪美少女的な人が一瞬目が合ってそれで俺に遅い!って言った)」

男は分かってはいるが部屋番号を確認した。


「なぜ、俺の部屋に人が…ああ絶対悪い何かだ美人局とか、キャトルミューティレーションとか…」

男がドアの前で相変わらずのマイナス思考を発揮していると突然ドアが開いた。


「あんた、何やってんの?あんたんちでしょここ?早く儀式始めたいんだけど!」


男は固まった。金髪美少女が俺に声をかけてきて、しかも家で、っていうかそもそも俺んちにいて、それで儀式とか意味不明な事を…ああ


「俺は、死ぬのか。」

「はぁ?」


これが、早長良ニ月と、東雲梓の遭遇だった。


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