『 彼女に送った最後のメール 』
『 バイバイ 』
彼女に送った最後のメール
今でもはっきり覚えている人生初の『告白』をした日
彼女に出会ったのは 高校2年の春の大会の日だった
大会も終わり 帰宅の準備をしていた僕に 後輩が話し掛けてきた
「N高のあの子 可愛いですよね」
僕の横を 1台のバスが通り過ぎた
そのバスの窓側の席に彼女は座っていた
その時 彼女と目が合った…
その頃から 彼女に興味を持ち始めた
僕が通っていたのはA高校
たまたま 僕の入部していた部活の顧問の先生と
N高校で部活の顧問をしている先生とが仲が良く
一緒に練習をすることが多かった
その頃はまだ 彼女と話をしたことはなかった
彼女と出会って半年が過ぎた
季節は『秋』
N高校での練習試合に出場することになった
その頃にはもう 彼女を眼で追うようになっていた
その練習試合には 中学生も参加していたので かなりの人数だった
参加人数が多いため 7つのグループに分かれて試合をすることになった
僕は Dグループ
そして 彼女はEグループに分かれた
その中でも2つのグループに分けられた
ABCグループと DEFGグループとに分けられた
彼女は Eグループのリーダー
僕は Dグループのリーダーに選ばれた
二人とも リーダーに選ばれた事もあり
そこで初めて彼女と言葉を交わした
試合も終わり 彼女と一言二言 言葉を交わしただけで その日も何事もなく 家に帰った
そして季節は巡り
合同合宿や練習試合をかさね
僕の高校での最後
の大会となった
『高校総体』
この日がやってきた
高校から始めた
『ソフトテニス』
2年半で 入部したころには想像できないくらい
自分でも
「上手くなったなぁ」
と思うくらいにはなっていた
先生や 先輩 同期から色々な事を学ばせてもらった
日々上手くなってゆくことに楽しさを感じた
先輩 後輩 同期と共に目指した
『全国優勝』
時には自分の腑甲斐なさに涙したこともあった
その全てが この日で終る
結果 総体での成績は
個人 ベスト32
団体 ベスト8
最悪だった
まだこのチームで
テニスがしたかった
そして 高校総体が終わろうとしていた
その日 僕はもう一つ結果を出そうとしていたことがある
それは
彼女への『告白』だ
この総体が終われば 彼女には二度と逢えないと思ったからだ
帰りぎわ 彼女とすれ違った
しかし
試合の結果のショックから全身の力が抜け
『告白』をしないまま 言葉も交わさないまま 帰ってしまった
「終わった」
そう心の中で呟いた
それでも 彼女への想いが抑えきれなくなった
たまたま 彼女と中学が同じ子がクラスに居た
その子に 彼女のアドレスを教えてもらい
彼女にメールを送ることにした
そう そのメールこそ 忘れることのできない あの
『告白メール』だ
僕は メールを送った
題名
「A高校の Kです」
本文
「急にメール送ったりしてゴメン どうしても君に伝えたいことがあるから
一言だけ言わせてください
僕は 君のことが好きです」
と
その頃の僕は 自分に
「自信」がまったくなかった
メールを送った時も 彼女とは友達でもなかった
ただの
「顔見知り」
程度だった
急に告白メールなんか送ったって 返事が来るかどうかさえわからない
メールを送って45分
返事が来ない
僕はもう 「あきらめよう」
肩を落としていた
その時
僕のケータイにメールが届いた
彼女からだ!
そう思い ケータイを開きメールを確認した
メールの相手は
やっぱり 彼女からだ
『急にメールが来たから 驚いたどうして私のアドレス知ってるの?』
僕は返信メールが来ただけで すごくうれしかった
彼女に友達から教えてもらったことを説明するメールを送った
『あぁ I君かぁ I君と同じクラスなんだね』
僕は勝手にアドレスを聞いてメールを送ったことを謝った
しかし彼女は
『別にいいよ 少し驚いたけど メールするのはいいよ』
と言ってくれた 「やったぁ!」
心の中で叫んだ
けど 僕は彼女が気にしている人がいること
それが 僕と同じ部活に所属していた人だとゆうことを知っていた
そいつとは仲が良く
一緒になって頑張ってきた
そいつの良さも僕は知っている…
僕は 彼女に自分の気持ちを伝えられれば それで良い
返事が来なくても 彼女にどう思われてもかまわない
と思ってメールしたんだから…
そう自分に言い聞かせ 僕は 彼女にメールを送った
『メールしてもいいって言ってくれて ありがとう 君に僕の気持ちを 伝えたかっただけだから… それじゃぁ… バイバイ』
このメールが 彼女に送った最後のメールだった
あれから3年の月日が流れた
彼女は今 何をして どんな人と話をして どんな毎日を過ごしてるんだろう
もう僕のこと 忘れてしまってるのかな