手榴弾を使って無双しまくろうとした結果
「いいか、よく見ておけ。あの角の壁に当てて、死角にいる敵にグレネードをお見舞いしてやるんだ。これを『バンクショット』と言う」
俺は手にした手榴弾のピンを、慣れた手つき(自称)で引き抜いた。
周囲の連中が固唾を呑んで見守る。
「こうだ!」
放たれた鉄塊は、計算通りの軌道で角の壁へと吸い込まれていく。
「おぉーーーー!」
「さすが師匠! 物理法則すら味方につけるとは!」
歓声に気分を良くした俺は、隣にいた新人に手本を見せるように促した。
「よし、次はやってみろ!」
「はい! おりゃあああ!」
威勢よく新人が放った手榴弾。だが、そいつは壁の角ではなく……手前の出っ張りに直撃した。
「馬鹿、そっちは――」
叫ぶ間もなかった。
物理法則は平等に、そして無慈悲に、爆発物を俺たちの足元へと送り返してきた。
バンッ!!!!
グッッッッチャ!!!!
(完)
幻の続話。リライト特別超過ep。2021→2026
「よしよし、いい子だ。次はもっと遠くまで投げてやるからな、しっかり取ってこいよ!」
手元には、さっきの爆死から奇跡的に残っていた最後の手榴弾。
愛犬は尻尾を激しく振り、期待に満ちた瞳で俺を見上げている。
「ワンッ!」
「そりゃあああ!」
力いっぱい放り投げられた手榴弾は、美しい放物線を描いて森の奥深くへと消えていった。
犬は弾かれたように駆け出し、茂みの中へ飛び込んでいく。
………………数秒後。
「おお、戻ってきたか! 無事に咥えて……」
誇らしげに駆け寄ってくる愛犬。その口には、確かに俺が投げた「何か」がしっかりと咥えられていた。
だが、距離が縮まるにつれ、俺の顔から血の気が引いていく。
「そ、そ、それは手榴っ――」
犬が「褒めて!」と言わんばかりに俺の足元で尻尾を振った瞬間、安全ピンが抜けたままの鉄塊が、その役目を果たした。
バンッ!!!!
グッッッッチャ!!!!
(完)




