表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/50

第七話 わたし(俺)、本物に目をつけられる

嫌な予感というのは、

だいたい当たる。


あの一件から三日後。

学園内の空気は、目に見えて変わっていた。


露骨な敵意は減った。

代わりに増えたのは――観察。


(様子見か)


これは前世で何度も見た流れだ。


騒ぐチンピラが消え、

本命が裏から動き始める前兆。


放課後。

図書棟へ向かう途中で、それは起きた。


「――少し、いいかしら」


声をかけてきたのは、

一人の上級生だった。


長い銀髪。

整った顔立ち。

学園指定とは思えないほど、

身体のラインを強調した制服の着こなし。


(目立つな)


だが、それ以上に――


(隙がない)


「何でしょう」


わたし(俺)は立ち止まる。


「あなたが、最近話題の編入生ね」


微笑みは柔らかい。

だが、その目は笑っていない。


「私は、セレス=アルディア」


聞いたことがある名前だった。


(上級生首席。

 生徒会直属。

 実力派エリート)


前世なら、

絶対に関わりたくないタイプ。


「少し、お話ししたいの」


「ここで?」


「ええ。

 逃げないでしょう?」


試すような言い方。


(もう敵扱いか)


「構いません」


そう答えた瞬間。


視界に、初めて見る表示が走った。


《悪行検知:解析不能》

《警告:対象は検知を回避しています》


(……は?)


わたし(俺)は、内心で眉をひそめた。


初めてだ。

システムが“読めない”相手。


セレスは、こちらの反応を楽しむように言う。


「あなた、面白いわね」


「そうですか?」


「ええ。

 多くの人は、

 正義を振りかざすとき、

 自分が正しいと信じたいだけ」


一歩、距離を詰めてくる。


「でもあなたは違う。

 自分が嫌われる可能性を、

 最初から織り込んで動いている」


(見抜かれてる)


「それで?」


「だから――危険」


セレスは、静かに告げた。


「学園はね、

 秩序が最優先なの」


「間違った秩序でも、ですか?」


即座に返す。


一瞬、空気が張りつめた。


次の瞬間、

セレスは小さく笑った。


「……やっぱり、厄介」


敵意。

だが、排除ではない。


(利用する気か)


「忠告しておくわ」


「あなたは、

 まだ“守られている”」


背を向ける直前、

彼女は振り返る。


「それが、

 いつまで続くかは――

 あなた次第」


去っていく背中。


《敵対フラグ:進行中》

《上位存在:接触》


(来たな……)


わたし(俺)は、深く息を吐いた。


前世でも、

一番厄介だったのはこういう相手だ。


正義でも悪でもない。

秩序を盾にするタイプ。


(でも)


口元が、わずかに緩む。


(やりがいはある)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ