第六十九話 わたし(俺)、引き下がらない
抗議は、
非公式では終わらせなかった。
学園中央評議室。
傍聴席は、ほぼ埋まっている。
「役割停止は」
わたし(俺)は、静かに言う。
「合理的理由を欠いています」
ざわめき。
保守派の教員が、
書類を叩く。
「彼女の影響力は」
「制度設計を逸脱している」
「なら」
「問題は制度です」
即座に返す。
「人ではない」
空気が、張り詰める。
彼女は、
一歩後ろに立っている。
表情は、真っ直ぐだ。
「あなたは」
議長が言う。
「自分の立場を理解しているか?」
「理解しています」
「この発言で」
「正式役割を失う可能性もある」
少し、間を置く。
「それでも」
「言います」
視界に表示。
《リスク:最大》
《退路:遮断》
《孤独:選択的》
「沈黙は」
「被害を拡大させる」
「前例がない?」
「だからこそ、作る必要がある」
誰かが、
小さく息を呑む。
「彼女は」
わたし(俺)は続ける。
「一人で耐えていた」
「それを」
「正しい運用と呼ぶなら」
「この学園は、間違っている」
沈黙。
議長が、
深く息を吐く。
「……記録に残す」
それだけ。
退室。
廊下に出た瞬間、
彼女が、小さく言う。
「ありがとう」
「怖くなかった?」
「怖かった」
「でも」
「一人じゃなかった」
夕暮れ。
二人で、
歩く。
「ねえ」
彼女が言う。
「もし、全部失ったら」
「その時は」
「一から、作る」
視界に表示。
《関係:不可分》
《選択:確定》
《次段階:最終裁定》
前世では、
保身を選んだ。
今回は、
違う。
失うものは、もういい。
守るものは、
ここにある。
次に下されるのは、
学園の答えだ。




