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前世で悪行三昧だったおじさん、転生したら美少女なので“悪行だけは全部わかる” ― 元・加害者だから逃げ道ごと潰せます ―  作者: ふぁい(phi)


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第五十九話 わたし(俺)、見過ごさない

翌朝。


学園は、いつも通り動いている。

授業、移動、雑談。

一見すれば、平穏だ。


でも。


「……空気が、変」


彼女が小さく言う。


「うん」

「気づいてる」


視線が、こちらを避ける。

ひそひそとした声。

笑い声に、少しだけ混じる棘。


原因は、明白だった。


昨日の演習。

裁量の行使。

そして――名前。


誰かが、面白くない。


中庭で、事件は起きた。


「ちょっと、いい?」


声をかけられたのは、彼女だ。

相手は上級生。

立場も、家柄も、強い。


わたし(俺)は、数歩後ろにいる。

介入できる距離。

でも、まだ動かない。


「最近さ」

「調子、乗ってない?」


笑顔。

でも、目が笑っていない。


「先生たちに気に入られて」

「特別扱い、されてるでしょ?」


彼女は、答えない。


代わりに、

わたし(俺)が前に出る。


「事実確認をしよう」


場が、静まる。


「特別扱いの定義は?」

「制度上の優遇?」

「それとも、感情的な不満?」


上級生の眉が、ぴくりと動く。


「は?」

「何、あんた」


「今のは」

「立場を利用した圧力に該当する」


「継続すれば」

「ハラスメント認定が可能」


一歩、近づく。


「知らなかったなら、今教えた」

「知っててやってるなら――」


視線を、逸らさない。


「今、やめるのが一番軽い」


空気が、凍る。


周囲の生徒たちが、

息を潜めて見ている。


上級生は、舌打ちして離れた。


「……覚えときなさいよ」


去っていく背中。


彼女が、息を吐く。


「……助けてくれて、ありがとう」


「当たり前だよ」


即答。


「見過ごさないって」

「決めたから」


視界に表示。


《ハラスメント兆候:確認》

《抑止:一次成功》

《周囲影響:注視》

《裁量:介入正当》


歩き出しながら、

彼女が言う。


「ねえ」

「前世のあなたなら、どうしたと思う?」


少し、考える。


「笑って」

「流して」

「あとで、弱い人に当たった」


「……今は?」


「今は」

「その場で、止める」


彼女は、少しだけ笑った。


「それなら」

「一緒に、歩ける」


孤独は、もう言い訳にならない。


正しい判断は、

誰かを敵に回す。


でもそれ以上に、

守れるものがある。


わたし(俺)は、

それを選び続ける。

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