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第四十五話 わたし(俺)、学園全体を巻き込む判断
その日は、朝からざわついていた。
大規模演習。
対象は学園全域。
上級生、中級生、教師全員が参加。
視線は自然と、
わたし(俺)に集まる。
(全員が基準にしている……)
開始。
まずは通常手順。
しかし、局面が複雑に絡む。
複数の魔力反応が同時に発生。
判断が分かれそうな瞬間。
その時。
わたし(俺)は静かに判断を示す。
「北西の魔力波は、左に誘導」
声は小さい。
しかし、
全員の行動は即座に一致。
止めるべき瞬間。
見送るべき瞬間。
全て、最小限の声で制御。
混乱はなし。
事故もなし。
中盤。
上級生が小声で囁く。
「補佐役の判断を基準にしよう」
中級生も頷く。
誰もが黙って、判断を模倣する。
放課後。
校庭。
彼女が隣で言う。
「学園全体を巻き込んだね」
「うん」
「怖くなかった?」
少し考える。
「少し。でも、全員の判断を
まとめられる感覚がある」
視界に表示。
《影響範囲:学園全域》
《支持:大幅増加》
《自発判断:模倣・連鎖》
《孤独:維持》
(ここまで来た)
正式役割は、
制度だけでなく、
心理と行動にまで影響を及ぼす。
声も拍手もなくても、
全員が正しい判断に動く。
孤独でも、
意味はある。
そして――
この静かな力は、
これからの学園を支える。




