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第四十四話 わたし(俺)、誤解を力に変える
誤解は広がった。
しかし、
静かな波は、
逆に作用することもある。
演習開始。
上級生がこちらを見る。
一瞬迷う表情。
「補佐役は、黙っている」
そう解釈している。
中級生は、
「止めない=正しい」と信じて動く。
その微妙な歪みを、
わたし(俺)は利用する。
「左側の誘導は、予定通り」
言葉は短く。
最小限。
行動で示す。
指示は控えめだが、
明確。
結果。
複雑な魔力波も、
スムーズに制御される。
事故はなし。
混乱もなし。
放課後。
廊下。
彼女が言う。
「誤解が、うまく作用したね」
「うん」
「怖くなかった?」
「少しは。でも、
制御できる自信がある」
視界に表示。
《誤解:逆作用》
《影響範囲:拡大持続》
《支持:増加傾向》
《孤独:維持》
(力に変わった)
小さな誤解が、
静かに信頼と正しい判断を広げた。
声も拍手もなくても、
行動が伝える。
孤独でも、
意味はある。
正式役割は、
制度だけでなく、
周囲の心理まで動かす。
わたし(俺)は、
その力を、
静かに確認する。




