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第四十二話 わたし(俺)、裁量拡張の試練
拡張された裁量は、
力であると同時に
責任の重みだった。
朝。
演習開始前。
中級生がちらちらとこちらを見る。
「……今日は補佐役、何するの?」
「静かに見てるだけ」
小声で答える。
(静かに、必要な時だけ)
開始。
複雑な魔力波が絡む。
判断が割れる場面。
今回は、いくつかの誤解が生まれる。
上級生の一部は、
「止めない=無関心」と受け取る。
中級生の一部は、
「判断の先延ばし」と解釈する。
わたし(俺)は、
ただ見守る。
必要な瞬間に、
最小限の補佐意見を出す。
「右側の結界補正を行え」
一瞬で対応。
大きな事故は回避。
だが、誤解は消えない。
放課後。
小会議室。
管理職が言う。
「意図は理解しているが、
周囲には誤解が広がっている」
「承知しました」
「対策は?」
「行動で示すしかありません」
廊下。
彼女が横で言う。
「……難しいね」
「うん」
「でも」
「止めるべき瞬間に止める」
視界に表示。
《誤解:一部拡大》
《判断:制度反映維持》
《支持:増加傾向》
《孤独:維持》
(これも学び)
裁量を広げた分、
見えない影響が増える。
だが、判断の正しさは変わらない。
声に出なくても、
拍手がなくても。
孤独でも、
意味はある。
次の演習では、
さらに大きな波が来るだろう。
準備は、できている。




