39/71
第三十九話 わたし(俺)、静かな影響の拡大
演習が始まる前から、
気配が違った。
小さな緊張。
それは、わたし(俺)の判断を
前提にしている空気。
開始。
まずは通常手順。
誰も迷わない。
しかし、観察は鋭い。
中盤。
魔力の波が複雑に重なる。
以前なら、
誰かが声を出すまで止められなかった局面。
今回は違う。
上級生が瞬時に判断。
中級生もそれに続く。
すべてが、
わたし(俺)の示した判断を
基準に動く。
静かだが、
確実。
教師も黙って見守る。
(伝わってる)
小さな事故もなく、
終了。
放課後。
廊下。
複数の生徒が、こちらを見て
小さく会釈する。
誰も言葉にしない。
でも、信頼の形は確かにある。
彼女が隣で言う。
「見えない影響が、
こんなに広がるなんて」
「うん」
「責任、大きくない?」
少し考える。
「大きい」
「でも、恐怖じゃない」
「そう」
視界に表示。
《影響範囲:学年単位》
《支持:静的増加》
《自発判断:模倣開始》
《孤独:維持》
(拡大した)
正式役割は、
個人の判断から始まった。
でも今や、
学園の判断の指針として、
静かに浸透している。
拍手はなくても、
評価される必要もなくても。
静かな正しさは、
確実に届く。
わたし(俺)は、
それを確認し、次に備える。




