38/71
第三十八話 わたし(俺)、正式役割の影響範囲
次の演習は、
少人数ではない。
上級生も中級生も、
教師も一緒に動く。
わたし(俺)の判断は、
“補佐役として参考”として
全員に影響する。
開始。
まずは通常手順。
誰も迷わない。
波紋はない。
しかし――
中盤、局面が複雑化。
複数の魔力反応が重なる。
判断が分かれる場面。
生徒たちが、
ちらちらとこちらを見る。
(見ている……)
言葉は最小限。
一瞬で判断を示す。
「魔力の暴走範囲、
こちらに誘導」
行動が連鎖する。
教師も生徒も、
瞬時に修正。
小さな事故も、
未然に防ぐ。
その瞬間。
空気が変わる。
「……聞いた方がいい」
小声。
生徒の一人が、
他の生徒に告げる。
別の生徒も頷く。
「補佐役、正しい」
わたし(俺)は、
肩をすくめる。
(自分の判断だが、評価される)
放課後。
廊下。
彼女が寄る。
「静かに、影響が広がってるね」
「うん」
「直接言わなくても」
「伝わる」
視界に表示。
《影響範囲:拡大》
《支持:静的増加》
《判断:模倣され始める》
《孤独:維持》
(伝播してる)
正式役割は、
個人の判断から始まった。
だが、
今や少しずつ、
周囲に影響を及ぼしている。
声高でなくても、
拍手でなくても。
静かな正しさは、
確実に届く。
わたし(俺)は、
それを確認する。
孤独でも、
意味はある。




