第三十七話 わたし(俺)、正式役割で試される
朝から空気が違う。
今日の演習は、
これまでの試験ではない。
学園全体が注目する、
大規模演習。
参加者は上級生から教師まで。
規模は広く、難度は高い。
わたし(俺)は、
“現場判断補佐”として、
初めて正式に立つ。
(やるしかない)
開始。
魔力波の測定。
補助結界の配置。
行動指示の伝達。
全て、順調。
だが――
中盤、突然の異常。
予想外の魔力の暴走。
通常手順では抑えられない。
教師が迷う。
生徒たちも混乱。
視線が、こちらに向く。
(……正式役割だ)
心を落ち着ける。
判断は正確に。
言葉は簡潔に。
「止めるべきです」
一拍。
「魔力の暴走範囲、
半径三メートル以内で制御可能」
教師は即座に対応。
生徒たちも連携。
最小限の修正で抑制成功。
静寂。
「……素晴らしい判断」
教師の言葉に、
小さく息を吐く。
だが――
喜びは短い。
「次は、
判断基準の共有を」
議長が言う。
「全員が、参考にできる形で」
わたし(俺)は頷く。
(孤独じゃない)
放課後。
廊下。
彼女が、驚いた表情。
「……ちゃんと見えてるね」
「見えた」
「怖くなかった?」
少し考える。
「怖かった」
「でも?」
「止めるべき瞬間に、
止められた」
「それが、役割」
視界に表示。
《正式役割:機能確認》
《影響範囲:拡大》
《信頼:質的上昇》
《孤独:維持》
(やっと、形になった)
役割は、
正式になった。
責任も、
明確になった。
でも――
判断は、これからも自分次第。
それが、
正式役割の意味だ。




