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第三十三話 わたし(俺)、一歩下がる

決めたことは、

すぐに実行した。


演習前。


教師が、

いつものように確認する。


「補佐意見は?」


わたし(俺)は、

首を振った。


「今回は、

 出しません」


一瞬、

空気が止まる。


「……判断は?」


「現場で」


それだけ言う。


教師は、

少し困った顔をしたが、

何も言わなかった。


(試してるな)


開始。


流れは、

前回と同じ。


判断が割れる場面。

止めてもいい。

進めてもいい。


誰も、

すぐにこちらを見ない。


――いや、

見ようとして、やめる。


(いい)


一人の生徒が、

声を上げる。


「ここ、

 一段落とそう」


別の生徒が、

続く。


「賛成、

 今の魔力、荒れてる」


教師が、

判断を下す。


修正。

成功。


演習は、

滞りなく終わった。


拍手はない。

でも――

ざわめきがある。


放課後。


小会議室。


管理職が、

首を傾げる。


「今日は、

 意見を出さなかったそうだね」


「はい」


「役割放棄と

 取られかねない」


「承知しています」


即答。


「でも」


続ける。


「判断を集めるための役割が、

 判断を止めていました」


「一度、

 弱める必要があります」


沈黙。


「……君は」


管理職が言う。


「自分の立場を、

 危うくしている」


「はい」


「それでも?」


「はい」


迷いはない。


廊下に出る。


彼女が、

少し心配そうに言う。


「大丈夫?」


「分からない」


正直に答える。


「でも」


続ける。


「止める人が、

 一人だけになるのは

 もっと危ない」


彼女は、

しばらく考えてから言う。


「それ、

 あなたらしいね」


視界に表示。


《影響力:一時低下》

《自発判断:回復傾向》

《信頼:質的上昇》


(下がった)


でも――

崩れてはいない。


むしろ、

地面が見えた。

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