表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/50

第二十三話 わたし(俺)、切られる側を見る

前回の証拠提出から、

判断は早かった。


早すぎるほどに。


翌朝。

学園内通達。


《一部職員の配置転換について》

《安全運用体制の再編》


名前はない。

理由も、書かれていない。


でも――

分かる人には分かる。


(切ったな)


噂は、

すぐに具体化した。


結界補助員。

器材管理担当。

非常勤職員。


責任の所在は、

そこに集められた。


「現場の確認不足」

「運用理解の甘さ」


便利な言葉だ。


(……末端だけ)


昼休み。


中庭の端。


一人の上級生が、

ベンチに座っていた。


前に見た顔。


反対派の、

あの委員会所属。


目が合う。


「……満足か?」


低い声。


「誰の?」


「俺たちが、

 切られて」


「上は、

 無傷だ」


(来た)


「証拠を操作したのは?」


問い返す。


彼は、

目を逸らした。


「……指示だった」


「誰の?」


答えない。


沈黙。


「俺は、

 正しいと思ってた」


彼は、

絞り出すように言う。


「規則を守れば、

 安全だって」


「でも」


拳を握る。


「事故が起きても、

 責任は現場に落ちる」


(知ってしまったか)


「あなたは」


彼は、

こちらを見る。


「それを、

 分かってて動いたんだろ?」


「うん」


否定しない。


「だから、

 嫌われる」


「だから、

 切られる」


彼は、

苦く笑った。


「……覚悟、決まってるな」


「今さら」


背を向ける。


「次は、

 俺じゃないかもな」


その背中は、

少しだけ小さかった。


放課後。


「……残酷だね」


彼女が言う。


「上は守られて、

 下が切られる」


「よくある話」


「それで、いいの?」


「よくはない」


即答。


「でも」


続ける。


「見せないと、

 変わらない」


「切られる側を」


視界に表示。


《対立:深化》

《犠牲:顕在化》

《次段階:上層への波及》


(ここからが、本当の敵だ)


末端じゃない。

現場でもない。


判断を、

安全圏で下している側。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ