第二十一話 わたし(俺)、狙われる
前回の接触から、
違和感は“気配”に変わった。
露骨すぎない。
だが、確実。
時間割の変更。
演習場所の差し替え。
資料の閲覧制限。
(細かいな)
どれも単体では、
文句を言えない。
でも――
重なる。
午前の演習。
指定された区画は、
視界が悪い。
補助員は一人。
結界担当は、臨時。
(条件、悪い)
開始前。
装備点検。
刻印確認。
問題はない。
……はずだった。
「開始」
教師の合図。
魔力が流れた瞬間、
背中に冷たいものが走る。
(遅い)
結界の反応が、
半拍ずれる。
前回と似ている。
だが――
今回は“事故”に見える。
「中断!」
声を張る。
教師が反応する前に、
一歩、踏み出す。
魔力の流れを、
横から噛ませる。
衝突。
霧散。
軽い衝撃だけで、
演習は止まった。
ざわめき。
「……今の、何?」
「結界、遅れてた?」
教師が青くなる。
補助員が、
慌てて端末を確認する。
「……設定、初期化されてます」
(来たな)
誰も操作していない。
ログも、残らない。
“仕様”だ。
「演習は中止」
教師の声は、
少し震えていた。
放課後。
器材庫の前。
彼女が、
腕を組んで待っている。
「露骨すぎ」
「そうだね」
「偶然じゃない」
「うん」
言葉は、
もう要らない。
そこへ――
セレスが来た。
「学園側は、
“不運”で処理する」
予想通り。
「でも」
彼女は、
視線を逸らさずに言う。
「私の権限で、
内部監査を入れる」
(踏み込んだな)
「代償は?」
「立場」
即答だった。
「それでも?」
「それでも」
短く頷く。
視界に表示。
《妨害:確認》
《第三者介入:進行》
《対立:表面化》
(もう、戻れない)
相手は、
隠すのをやめた。
なら――
こちらも、遠慮しない。




