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第二十話 わたし(俺)、敵を知る

前回の応接室から、

空気が変わった。


噂は、

もう曖昧じゃない。


名前は出ない。

でも、方向性が出た。


「現場判断派」

「規則軽視」

「危険思想」


(レッテル貼り、早いな)


掲示板に、

新しい通達が出る。


《安全運用再確認》

《個人的見解の拡散を慎むこと》


文面は柔らかい。

だが――意図は明確。


(牽制だ)


昼休み。


食堂の隅。

人の少ない席。


トレーを置いた瞬間、

影が落ちた。


「少しいい?」


低い声。


顔を上げると、

見知らぬ上級生。


腕章。

委員会所属。


「あなたが、

 最近話題の人?」


肯定も否定もしない。


「話が早くて助かる」


彼は座らず、

立ったまま続ける。


「君の発言、

 現場では困る」


「安全基準は、

 統一されてこそ意味がある」


「例外を許せば、

 線引きが崩れる」


(典型的だ)


「怪我人が出ました」


静かに返す。


「規則を守っても」


彼は一瞬だけ言葉に詰まり、

すぐに立て直す。


「それは、

 想定外だった」


「想定を、

 広げる話です」


「それは、

 我々の仕事だ」


線が引かれる。


「君の仕事じゃない」


(来た)


「……では」


わたし(俺)は、

視線を上げる。


「現場にいる人間は、

 何をすればいい?」


「従えばいい」


即答。


「判断は、

 上がする」


(それが、敵だ)


「ありがとう」


礼を言って、

席を立つ。


彼は、

少し驚いた顔をした。


「分かってくれたなら――」


「分かりました」


言葉を重ねない。


廊下。


待っていたのは、

セレスだった。


「接触されたわね」


「見てた?」


「ええ」


一拍。


「……私は」


彼女は、

珍しく言い淀む。


「どっち?」


視線を向ける。


逃げ場を、

与えない。


セレスは、

静かに息を吸い――


「あなたのやり方は、

 危うい」


(そう来るか)


「でも」


続けた。


「今の学園は、

 もっと危うい」


視線が合う。


「私は、

 制度側にいる」


「でも、

 目を閉じるつもりはない」


(中立、か)


「十分です」


それだけで。


視界に表示。


《対立構造:可視化》

《反対派:明確化》

《協力者:限定維持》


(敵は、制度じゃない)


制度に、

思考を預けた人間だ。


そして――

それは、増える。

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