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第十九話 わたし(俺)、代表にされる

前回の聴講から、

一週間も経っていない。


それなのに、

状況は一段、変わった。


朝。

教室に入ると、

席の周りが空いている。


避けられている、

というより――遠慮だ。


(悪い兆候だな)


ホームルーム終了後。


教師が、

こちらを呼び止めた。


「放課後、

 応接室に来てほしい」


理由は、

言わなかった。


応接室。


見慣れない顔が、

二人。


学園外の監査官と、

どこかの組織の職員。


肩書きは、

曖昧にしか紹介されない。


「率直に言います」


監査官が言う。


「君の意見を、

 代表として聞きたい」


(来たか)


「学園の安全運用について」


「現場判断の扱いについて」


「生徒側の視点で」


逃げ道は、

最初から用意されていない。


「正式な立場ではありません」


一応、釘を刺す。


「承知しています」


職員が頷く。


「だからこそ、

 “非公式な代表”として」


(最悪の言い回しだ)


「断る理由は?」


問い。


少し考えてから答える。


「責任が、

 曖昧になる」


「君が引き受けなければ」


監査官は、

淡々と言う。


「代わりに、

 “都合のいい誰か”が

 立ちます」


(それは、ダメだ)


「……分かりました」


条件を出す。


「発言内容は、

 記録に残す」


「個人の意見ではなく、

 事例として扱う」


「名指しはしない」


監査官は、

一瞬だけ笑った。


「十分です」


放課後。


廊下。


「……聞いた」


彼女だ。


「代表って」


「非公式」


「一番やばいやつ」


その通り。


「断れなかった?」


「断ったら、

 もっと悪くなる」


彼女は、

少し黙ってから言う。


「それ、

 前世の話?」


「前世も、

 今も同じ」


違うのは――

今回は逃げないこと。


視界に表示。


《役割付与:進行中》

《影響範囲:拡大》

《次段階:対立の可視化》


(担がれた)


自分の意思とは関係なく。


でも――

担がれたなら。


落とされないように、

握るしかない。

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