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第十七話 わたし(俺)、守られない立場になる

あの件は、

「未然防止」として処理された。


表向きは。


報告書には、

そう書かれている。


迅速な判断。

的確な指摘。

被害ゼロ。


理想的な結末だ。


(……だからこそ、だ)


呼び出しは、

翌日の朝だった。


職員室。

扉の前。


中から、

低い声が聞こえる。


「――規則違反ではないが」

「――前例を作った」


ノック。


「入れ」


視線が集まる。


教師。

管理職。

生徒会代表。


そして――

セレス。


「今回の件について」


管理職が口を開く。


「君の判断は、

 結果として正しかった」


(前置きだ)


「だが」


来た。


「生徒が、

 現場判断を主導するのは、

 好ましくない」


「規則は、

 守られるためにある」


「例外は、

 最小限でなければならない」


誰も、

間違ったことは言っていない。


「再発防止のため」


一枚の紙が差し出される。


「当面、

 自由演習への立ち会いを制限する」


(……処分だ)


軽い。

だが――確実に効く。


「異議は?」


問われる。


「ありません」


即答。


ここで争えば、

“面倒な前例”になる。


セレスが、

一瞬だけこちらを見た。


何か言いたげだったが、

口は開かなかった。


放課後。


廊下の端。


「……納得してない顔」


彼女だ。


「納得はしてる」


「でも、腹は立つ?」


「うん」


正直に答える。


「守ったのに、

 守られなかった」


「そう」


彼女は、

拳をぎゅっと握る。


「理不尽だよ」


「でも」


わたし(俺)は、

少しだけ笑う。


「予想通り」


「え?」


「仕組みを揺らせば、

 仕組みは反撃する」


前世の記憶が、

淡く蘇る。


「だから」


一歩、前を見る。


「次は、

 守られる形を作る」


視界に表示。


《評価:分岐》

《外部圧力:増加》

《次段階:制度外ルート》


(ここからが、本番だ)


守られないなら、

守らせる。


静かに。

確実に。

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