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第十二話 わたし(俺)、一人じゃないと知る

制約が増えると、

人は二つに分かれる。


諦めるか。

考えるか。


わたし(俺)は、

後者を選んだ。


あの一件以降、

学園の運用はさらに硬くなった。


生徒会補佐の立ち会い。

教師の即断。

生徒の裁量は、ほぼゼロ。


(安全ではある)


だが――

柔軟さは、消えた。


小さな異変。

未然に防げたはずの兆候。


それらが、

「様子見」の名のもとに放置される。


(このままじゃ、

 いずれ大きいのが来る)


放課後。

資料室。


規則、記録、報告書。


(抜け道は……)


扉の開く音。


振り向くと、

彼女がいた。


「ここにいると思った」


断定。


「なんで?」


「最近、

 いつもここ」


観察されていたらしい。


少し間を置いて、

彼女は続けた。


「……困ってるでしょ」


否定は、しなかった。


「うん」


それだけで、

彼女は一歩近づく。


「全部、一人でやろうとしてる」


責める声じゃない。

事実を置く声音。


「前に言ってたよね」


彼女は、

わたし(俺)のノートを見る。


「正しいことを、

 正しく通す方法を考える、って」


「言った」


「それなら」


一拍。


「“一人でやらない”

 って方法もある」


(……)


前世では、

その選択肢を捨てていた。


信じるコストが、

高すぎたから。


「協力して、

 何かしろって?」


「違う」


首を振る。


「わたしは、

 前に出ない」


「ただ、

 見て、覚えて、

 必要な時に言うだけ」


(観測者、か)


わたし(俺)は、

少しだけ考えて――


頷いた。


「それでいい」


彼女は、

ほっとしたように息を吐く。


「じゃあ、約束」


「無茶しない」


「努力する」


そのやり取りに、

二人で小さく笑った。


視界に表示。


《協力関係:限定》

《信頼度:微増》


(十分だ)


廊下に出ると、

遠くで銀髪が揺れた。


セレス=アルディア。


(見られてるな)


でも――

もう、構わない。


一人じゃない。


それだけで、

選択肢は増える。


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