39話:方針
レッサーベアを倒した翌日は5連続討伐日の翌日なので休み。
時間を見つけてセリアさんに昨日の活動内容を細かく説明した。
「はぁー。
レッサーベアを倒そうという話を聞いてから10日くらいで本当に倒してくるなんて。
まぁディックスが嘘を言うとは思ってませんけど、私とスワン以外の人は信じられないと思います。
祝福を与えられてから早い人で2ヶ月くらいでレッサーウルフを倒すそうで、ディックスはこれくらいのペースでの討伐だったので優秀な新人だな、くらいの印象を持たれているはずです。
しかし、レッサーベアを倒すのは早くても1年は掛かると言われています。
それが3ヶ月もかからずですからね。
何か不正をしたり、他の人が倒したものを奪っているのではないかと言いがかりをつける人が出てくる可能性があります。
なので、ランクに興味が無いのであれば、1年くらいはレッサーベアの納品はせずにランクアップしない方が安全だと思います。
ランクアップをしなくてもディックスの能力なら稼ぎはほとんど変わらないでしょうし。
絶対にランクアップするなということではありませんが、考えてもらえませんか」
セリアさんからランクアップの保留についての考えを伝えられた。
難しい選択である。
稼ぐためにランクアップが必要じゃないのはその通りなのだ。
ランクアップすることで受けられる依頼はあるが、現状それを受けたいとは思っていない。
特殊なモンスターの討伐依頼や護衛依頼が主なものであり、どちらも近場ではないことが多いため、日帰りが難しいのだ。
また、ダンジョンへの入場にも関係するがこちらも日帰りでは行けないので、今すぐにダンジョンに行くわけではない。
「分かりました。今年の間はレッサーベアの納品はしないことにします。
私も面倒ごとは避けたいですし、何かの理由があってランクアップした方がよいとなった場合には、セリアさんに相談します。
その代わりという訳では無いですが、レッサーベアを倒してギルドランクは実質Dになりました。
中級冒険者と言われるランクです。
なので、そろそろ孤児院にお金を入れるようにしたいです。
そもそも私が冒険者をやっているのはお金を稼ぐためです。
セリアさんには申し訳ないですが、将来的に軍に所属することは考えていません。
お金を稼いで、孤児院のみんながいつでも正月のようにお腹いっぱい食べられるようにしたいのです。
だから、お金を受け取ってもらえませんか」
どこかのタイミングで孤児院にお金を入れるようにしたいと思っていた。
でも、それをするのにどのタイミングが良いのか分からなかったが、ランクDという中級冒険者と言われるランクまで上がればいいのではないか。
そう思ったので、セリアさんに想いを伝えることにした。
私の言葉を聞いたセリアさんは複雑そうな顔をしていた。
「はぁー、本当にあなたは困った子ですね。
12歳でまだ祝福を与えられてから3ヶ月も経っていないのに孤児院にお金を入れたいなんて。
そういうのは孤児院を出てから、しかもかなりお金に余裕が出来てからやるものですよ。
孤児院のために使わずに自分のために使いなさい」
「孤児院のためでもありますが、私自身のためでもあります。
孤児院にお金を入れることで食事が増えたり、豪華になることで私の身体は大きくなりやすいはずです。
大きくなればそれだけモンスターの討伐がしやすくなり、より多く稼げるようになります。
私1人だけが食事量を増やして、周りの子がお腹を空かせているなんてあり得ません。
なので、みんなの食事を良くするためにお金を入れさせて下さい」
「そう言われると辛いわね。分かったわ。
ただ、お金ではなく食材を入れてもらえるかしら。
ディックスのスキルで、レッサーウルフの肉とレッサーベアの肉を毎日用意してもらえる?」
「分かりました。それでお願いします。
ちなみに、それぞれ毎日2つずつでどうでしょうか。
ギルドでの買取価格で1,600G分、1ヶ月で大体48,000G分になります。
毎日用意してくれている食事を自分で用意するなら3万Gは必要と教えてもらいました。
それに加えて家を借りる場合にベッド分だけの広さだとしても数万G分くらい必要だと思いますので、合わせて5万Gくらいは払わせて下さい」
「もうしっかりとした計算までして。
分かりました、それで構いませんよ。
スワンさんにも伝えておきますから、毎日夕食後に渡して下さい。
それを翌日以降の食事に使いますから。
ただ、用意するのが無理になったり、何かお金で困った時は相談するのですよ」
「はい、分かりました」
セリアさんとの交渉は上手くいった。
もっと受け取ってもらいたいけど、まずはここからだ。
ギルドランクCまで上がったら、また増額の交渉をしようかな。
その後はヴェロニカとノクスと鍛錬をしながら1日を過ごした。
夕食後にはキッチンにいるセリアさんとスワンさんに声をかけて、レッサーウルフとレッサーベアの肉を2つずつ渡した。
話し合って決めたことなのに、受け取るセリアさんの表情は複雑そうだった。
もうなんでですか。
嫌がられても必ず毎日渡しますよ。
xxxxxxxxxx
所持金:0G
借金:▲1,170,340G
xxxxxxxxxx
良かったと思ったらブックマークやリアクションをいただけるとありがたいです




