35話:アドバイス
翌日以降も前日と同じように、自分の動きが少しでも良くなるように、1つ1つの動作を意識しながらモンスターを討伐していく。
相手の動きをよく見る。動き出しはどこから動くのか、個体によって違うのか。
相手の大きさは何mか、攻撃範囲はどの程度か、この種族の素早さを考慮すると何m前で回避すれば間に合うか、最適最小の回避の動きはどれか、カウンターに繋げるための最適な動きはどれか。
カウンターはどこを狙うのがベストなのか、左右に回避する際の剣の持ち方、動かし方はどれが最適か。
剣をどこまで深く斬りつけるか、どのタイミングで引き戻すか。一番ダメージを与えられるのはどれか、その後の体勢を考えるとどれが一番リスクが小さいか。
フェイントはどの程度まで動かせば反応されるのか、どのタイミングでやるのが有効か。
こちらから攻撃を仕掛ける時はどう動けば感知されにくいのか、一撃を狙うべきか、機動力を削ぐべきか、攻撃力を削ぐべきか。
1体を倒すだけでもこれだけ考えることはある。
いや、まだまだもっと考えないといけないことはあるはずだ。
最適だと思った方法でも、もっと最適なものがあるかもしれない。
自分1人では分からないことでも、他の人の意見を聞いたら分かることがあるかもしれない。
こんな所でソロ行動のデメリットを感じるとは思わなかった。
次の休みの日に、孤児院にいる年上の冒険者に色々と聞いてみようかな。
全てを鵜呑みにするわけじゃないけど、何かいいアイデアがあったり、キッカケが掴めるかもしれない。
モンスターを討伐しながら、探し回りながら考える。
考えれば考えるほど、私が今まで感覚だけで戦ってきたのだと感じる。
こんなに変わるキッカケになったのだから、あの負傷も必要なことだったのかもしれない。
休日までの4日間は、この繰り返しだった。
結果、4日間で226,300G、一昨日は61,700Gと過去最高の稼ぎを更新して、借金は179,020Gとなった。
稼ぎも良かったが、本当の意味での自分の実力が上がったと感じられた、とても充実した5日間だった。
◇◇◇
休みとなる今日。
朝食後も鍛錬を続ける。
ただ、今日は鍛錬よりも年上の冒険者をしている子に色々と話を聞くことを優先したい。
ちょうどいい人がいないかなと探していると、2つ年上で孤児院のメンバー3人でパーティーを組んでいるウォード、エマ、メルティがやってきた。
彼らも休みだったようだ。ナイスタイミングだ。
「ウォードさん、今お時間ありますか?」
「ん?ディックスか。大丈夫だぞ。
というか、いい加減にその丁寧な言葉遣いは止められないのか。
何年一緒に過ごしていると思ってるんだ」
「口癖といいますか、この方が話しやすくて抜けないんですよ。なるべく頑張ります」
時間をもらったので、戦闘において何に気をつけているか、何を考えているかなどを聞いていく。
ウォードさんは騎士のジョブであり、パーティーではタンクを担当している。
とにかくモンスターを先に発見すること、盾でモンスターの攻撃を防ぐこと、可能ならメイスで殴りつけることが役割だ。
いかにモンスターと他のメンバー、特にメルティさんの間のポジションを保つか、2人が攻撃しやすい所に盾で弾くか、複数体のモンスターに囲まれないか、と立ち位置に関する所を気にされていて、複数体のモンスターと戦う際の参考になった。これならハニービー5体でも上手くやれる気がする。
エマさんは剣士のジョブであり、パーティーでは近接アタッカーを担当している。
役割は、接近しての攻撃。あとはケガをしないように回避中心の動きをしているそうだ。
比較的似た動きをしているが、いかにモンスターに大ダメージを与えるか、どこが狙い目か、いかにウォードさんを活かして敵に接近するか、いかにカバーしてくれるウォードさんの邪魔にならないように動くか。そういった所に気をつけていた。
こちらから攻撃を仕掛ける時の参考になりそうだ。
メルティさんは魔術師のジョブで土魔法を得意としていて、パーティーでは遠距離アタッカーを担当している。
役割は、ウォードさんが発見したモンスターへの先制攻撃がメインで、その後はモンスターがメンバーから離れたタイミングで攻撃しているそうだ。
遠距離から正確にモンスターに魔法を当てるために気をつけていることを聞いて、投擲時の参考になった。
3人に色々と話を聞かせてもらったお礼をする。
教えてもらったことを早く活かしてみたい。
明日からの討伐がより楽しみになった。
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所持金:0G
借金:▲179,080G
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