34話:修行
ハニービーとの戦いで危険な目にあった翌日。
今日は休みだ。だからこそ、朝の鍛錬はより気合を入れる。
投擲スキルを狙っての鍛錬だけでなく、剣の鍛錬もしっかりやる。
今日のイメージトレーニングの相手は、もちろん昨日のハニービー5体が相手だ。
避け方、カウンターのタイミングや剣の入れ方、色々と考えながら鍛錬に取り組む。
朝食後も他の孤児院の子達と一緒に鍛錬を続けるが、その前にセリアさんに昨日の活動内容を伝える。
そして、ハニービーの群れとの戦いはしばらく控えてステータスやスキルに現れない技術や経験をもっと積むことに取り組みたい、ポーションを使ってしまったので預けている3万Gで中級ポーションを買ってきてもらえないか、もし1.5万Gを返してもらった場合は借金が減るだけかもしれないので。
そんなことを伝えると、聞いていたセリアさんは、
「分かりました」
という一言だけしか言わなかった。
「もっと色々と注意とかを言われるかと思っていましたが、どうして言わないのでしょうか」
「ディックスが一番悔しいのでしょう。
そして、その経験からしっかり反省をして、今後どう進んでいくかも考えています。
私からさらに言わないといけないことはありませんよ。
夕方までに中級ポーションは買っておきますね」
さすがセリアさんだな。やっぱりこの人には敵わないや。
お礼をして院長室を出ていく。
セリアさんとの会話を終えて気合を入れ直したので、鍛錬を再開する。
途中でヴェロニカとノクスが声をかけてきたのでアドバイスをしたり、一緒に走ったり、一緒に投擲したり。
ヴェロニカはあれ以降、とにかく全部のことに真剣に取り組んでいるそうだ。
あの拙いアドバイスで前向きに動き出してくれたなら嬉しいな。
昼食後も鍛錬をする。
休みではあるが、討伐の日と同じかそれ以上に身体を動かしている気がする。
まぁ精神的疲労は無いから、休みになっているはずだ。
夕食前にセリアさんから中級ポーションを受け取り、夜は早めに就寝した。
◇◇◇
討伐を休んだ翌日。
一昨日の反省を元に、ハニービーを含めて4体以上のモンスターとの集団戦は避けるようにしよう。
あとはとにかく討伐だ。
攻撃のバリエーションは足りていないが、足りていないのは技術だけじゃない。
経験、場数が足りていない。いかなる状況でも焦らず冷静に対応できるようにならないといけない。ステータスやスキルに頼らない強さを身に付けないと、また危ない目に合って次は命を失うかもしれない。
ジョブとスキルに恵まれたおかげでステータスは強くなったが、ステータス以外が釣り合っていない。借金もあることだし、借金返済まではレッサーベアと戦うこともせずに自分を鍛えよう。
北の森に到着してからは、いつも通り走ってモンスターを探し回る。
モンスターを見つけたら周囲を要チェック。
相手の数を確認して、3体以内なら攻撃を仕掛ける。
流れ作業ではなく、丁寧に戦う。
少しずつでもいいから、より素早く、より力強く、より無駄の無い動きとなるように意識しながら。
剣だけでなく、投擲、酸攻撃、蹴りも加えて、自分のペースで相手を倒せるように。
1日を終えて、まだまだだが朝よりは動きが良くなった気がする。
結果、今日はグリーンスライム4体、ハニービー4体、ゴブリン5体、レッサーウルフ3体を倒し、合計52,700Gと過去最高タイの稼ぎとなり、借金は404,920Gとなった。
孤児院に戻り、セリアさんに今日の報告をする。
報告を終えるとセリアさんはいつもよりニコニコしていた。
「セリアさん、何かいいことがありましたか?」
「ディックス、どうしてそう思うのですか?」
「私の話を聞いている間、ずっとニコニコしてましたので」
「ふふふ。それはね、ディックスがいつもよりイキイキとした表情で報告をしてくれたからですよ。
充実した1日だったのでしょうね」
そうだったのかな。
確かに、流れ作業のようにモンスターを倒して稼ぐだけの日々より、全ての戦いにおいて動きの1つ1つに意識をしながら丁寧に戦った今日の方が、疲れはしたが満足度は高かった気がする。
そんな俺も気づかなかったことに気づくのは、さすがセリアさんだな。
そういう観察力も強くなるために磨いた方がいいのかもしれない。
戦ったり、鍛錬したりするだけじゃない。
強くなる方法はもっと色々あるのだろうな。
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所持金:0G
借金:▲404,920G
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