18話
新年3日目もいつも通り鍛錬と朝食を終えた。
今日の予定は、まず冒険者ギルドで街の北にある森に生息しているモンスターについて調べる。どれくらいのレベルまで行ったら草原から森に狩場を変えるかも考えないといけない。
その後は草原で稼ぎに行く。あとは少し早めに買ってきて防具を見に行きたい。ホーンラビットは無傷で倒せたが、北の森ではより強いモンスターがいるはずであり、それを考えるとそれまでには防具を手に入れたい。
あとは投擲攻撃に使える何かが欲しい。あ、それなら投擲スキルも欲しいな。剣術スキルが最優先だが、投擲スキルも比較的獲得しやすいらしいので、剣術の次は投擲スキルが取れるように鍛錬のメニューに加えよう。
今日の予定を頭の中で整理し終えて冒険者ギルドに向かう。
空いている受付で、北の森にいるモンスターの分布が知りたく資料室を利用したいので場所を教えて欲しいと尋ねると、マイカードの提示を求められた。
提示すると受付さんは奥の机に行って、しばらくするといくつかの資料を持ってきて、
「こちらが北の森の情報をまとめたものです。
より詳細が知りたい場合は、2階にある資料室を使って下さい」
と一番最初にギルドに来た時にもらったものより少し多い資料を手渡された。まとめられているくらいこの街の冒険者に需要のある情報、ということなのだろう。
お礼を伝えて、ギルドの隅で資料を確認する。
資料によると、北の森に主に生息するのは、グリーンスライム、ハニービー、ゴブリン、レッサーウルフ、レッサーベアの5種類。それぞれ適正レベルは7、10、12、15、20となっていた。経験値、素材、生息エリア、特徴、攻撃パターン、推奨討伐方法と、草原の資料と同じような項目が続いていた。
適正レベル7以上、ということになるが、レベル7で北の森に行ってもグリーンスライム以外は逃げることになり、稼ぎは今より悪くなると想定される。
なので、最低でもレベル10になってから北の森には行こうと思う。新しい狩場に行きたい好奇心よりもお金と安全性が重要なのだ。
冒険者ギルドでの用事を済ませたので、資料をカバンに入れて草原に向かう。
酸攻撃による顔面攻撃、というか目潰し?はジャイアントラットにも効果的で、討伐はサクサク進んだ。とはいえ油断はしないで、慎重に倒していく。
冒険者ギルドでの調べ物とこの後に防具を見に行くため、今日は少し短めの活動時間であったが、その分走ってモンスターを探していたので、スライム6体、ワーム6体、ジャイアントラット3体、ホーンラビット1体、合計13,800Gとそこそこいい稼ぎで、所持金は41,720Gとなった。
街に戻り、以前剣を購入した商店に向かう。その途中で、
「お兄さん、良ければうちの商品見ていかないかい?」
珍しく客引きに声を掛けられた。どうして私に声を掛けるのだろうか、もっとお金を持っていそうな年齢高めの冒険者の方が買ってくれそうなのに。
疑問に思っていると客引きのおじさんは商品の場所に案内しようとしていた。どうやら道の脇にある屋台がお店らしく、そこには数は少ないが防具と武器が並んでいた。
ここで買うつもりは無かったが、市場調査も兼ねてちょうど防具を探していると伝えた。すると、
「運がいいね!この防具はレッサーベアの皮を使用していて、普通の商店だと40,000Gくらいするものだが、うちは特別なルートで仕入れているから15,000Gで販売しているんだ。
残り1点だから早いもの勝ちだよー」
とオススメしてくれた。なるほど、確かにお得だ。25,000Gも安いとか格安だ。だから、
「遠慮します」
と断った。
おじさんがもうこの価格で売れることは無いぞ、他の冒険者に買われるぞ、としつこく言ってくるので、
「あなたから買わない理由がいくつかあります。
1つ目は価値に見合った価格で売れば良いのに安売りをしているからです。質が悪いとか何か理由があれば別ですが、あなたはそういうことは何も伝えていません。
2つ目は本当に質がちゃんとしているなら、私に売るよりもギルドの近くにある商店に売り込めば確実に15,000Gより高く買ってくれるはずだからです。より稼ぎたいはずの商人としてはおかしな行動です。
3つ目は私がその商品に詳しくないからです。質がいいかどうか分かりませんし、もし商品に不具合があった場合に、屋台の店なのであなたに文句を言ったり返金してもらうことができない可能性が高いです。
ギルドの近くの商店なら文句を言えない状況になることは無いでしょうし、店の信用を損なうことが無いように、そういうことが起こらないように商品管理をしっかりしているはずです。大事なお金を使って防具を買うならそういう点も考慮するのが当然です」
と周りの通行人にも聞こえるような大声で言ってその場を立ち去った。
気を取り直して剣を購入した店に向かい、入店後に前回とは逆方向の左側を見ていく。入口に近い安い防具でもいくつも種類があり、素材だけで分けても金属で作られたもの、モンスターの皮で作られたもの、両方を組み合わせたもの。さらに靴や籠手、脛当てといった一部を守るものから全身用のものもあった。
どういうのがいいのか分からなかったので、こちらを見ていた店員さんの元に行く。
店員さんに、予算3万G程度でオススメの防具を教えて欲しいと尋ねた。
それを聞いた店員さんは、使っている武器はその剣だけか、どういう戦闘スタイルか、を質問してきたので剣だけでカウンター中心で戦っていることを伝えた。それなら重い金属ではなく軽いモンスターの皮でできたもの、全身ではなく必要な箇所を守るものが良いのではないか、と勧められた。
それならとモンスターの皮でできたものを見せてもらう。モンスターの皮でも一番安いのはジャイアントラットの皮だが、北の森での戦闘を考えるとその上のランクのものがよいと伝えるとレッサーウルフかレッサーベアの皮をオススメされた。
頭、腕、胴体、足、靴まで揃えると、レッサーウルフで20,000G、レッサーベアで40,000G程度とのことだった。レッサーベアの防具でもギリギリ所持金が足りている。うん。北の森でも通用するものでレベル20になるまでの長期間に渡って使うものならしっかりしたものを購入しよう。
店員さんに40,000Gのレッサーベアの防具を購入することを伝えると、すぐに商品を用意してくれて、そのまま装着する方法を教えてくれた。
支払いを済ませて、ついでに今日は買えないが投擲用の武器のオススメを聞いてみた。お店で扱っているものとしては、投げナイフ、投げ槍、投げ斧があり、あと店には無く玉を用意する必要はあるがパチンコもいいのではないかと教えてくれた。投擲用ならそこまで質にこだわる必要もないし、大きさも小さめなので数千G程度のものがいくつかあるそうだ。
ちゃんと刺さるように投げられないと意味がないので、鍛錬を開始してからまた来ようと決めた。
あと、店員さんに先程の屋台の店について伝えてみた。
ギルドの前にある店なので商人ギルドにも通じているだろうし、問題があったら対応してくれそうという考えだったが、それを聞いた店員さんは別の店員さんに内容を伝え、伝えられた店員さんは店の外に出ていった。
店員さんの対応は気になるが、店を後にして孤児院に帰る。
帰ってセリアさんにレッサーベアの防具を購入したことを伝えるととても喜んでくれた。やはり安全性向上のために購入してよかった。
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所持金:1,720G
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