7:前日まで「やりたくない」とか言ってたやつが文化祭で一番ハイテンション。
後ろを見てる暇とか無い。
体を屈める。
ろうくんが口からドリルを出し、穴を掘る。
後で先生に怒られるな・・・。
でも、仕方ないんだ!
あいつ本気で追っかけてくるんだ!
ろうくんに続きほかの六体も穴に入り、それぞれ分岐した道を作り始める。
これで時間が稼げればいいけど。
どうしたもんか。
道は七本。
道の奥からはドリルで宝利進めている音が絶えず鳴っている。
あんな本気で逃げ無くてもいいのに・・・。
ちょっと傷ついちゃったよ。
一度瞑目し、開く。
勘。
左から二番目の道を見据え、水黽が滑るように走り出す。
地上に上がる。
地中じゃ一本道だから逃げ場がない。
朝香を迷わせるために一回潜って道造ったけど、やっぱり地上の方がいい。
走り出そうとしたその時、穴から影が飛び出る。
少しも迷わず猛ダッシュ。もう一度穴を掘り、少ししてけんくんが掘った穴と交わるように掘る。
その後もひなくんの穴とクロスしたりれいくんの穴に合流して、十字路や丁字路を大量生産。
最初なんでバレたかわからないけど、兎に角掘る。
やば、めっちゃ複雑。
・・・よし、諦めよう。
水黽は確かに速いが、それは直線や平面限定。
先に教室に帰って、凜ちゃんが帰ってくるのを待とう。
帰ってきたときどんな表情してるかな?
どんな目で見てくれるかな?
・・・楽しみ。
無我夢中で掘っていたら、いつの間にかホームルームも終わって一時間目の開始時刻。
オーマイガー!!
教室に帰ろうとしたとき、この場の惨状に気が付いた。四つの穴が校庭に開き、そのうち一つの近くに、制服を砂で汚した女子高生。
・・・やべーぜ。