6:リアクションがいつも薄い人はサプライズパーティーにものすごく困る。
いやぁしっかし、やばかったねアイツは。
この前の私は怖がらせるための演技だったわけで、でもアイツからはリア狂の匂いがした。
・・・あれは演技だったんだよ?ホントダヨ?
そんなこんなあって、今日も平和に一日が終わった。
翌日。
昇降口から教室に向かって廊下を歩いてる途中、横合いから誰かに飛びつかれた。
「凜ちゃ~ん!」
朝香だ。
・・・今出てきたの三組の教室だよね?
私たち五組だよね?
「あれ、反応ない」
うん。反応できねーよ。
めっちゃ三組の方々に見られてるし。
陰キャは視線で七百ダメージ負うのです。
「う~ん。えいっ」
「!?」
くすぐられた。
「あ、弱いんだ~」
なんだその表情。
猛ダッシュ。昇降口へ引き返す。
「待て~!」
それで待つやつ・・・って速!?
陰キャの体力じゃ逃げ切れん。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「お、息切れ。いいねぇ」
やばい。顔がキモいのに気配が鬼だ!
「ろうくん!」
「おっ。虫に名前つけてるのかぁ。そこもまたいい」
ろうくんに跨り、全力で逃げる。
「じゃあこっちも対抗しようかな。水黽!」
水黽。足と地面に磁気を発生させ、リニアの要領で水面を滑るがごとく走る。
虫は戦闘用に、ベースの虫の能力に近い機能を有する。
地獄の鬼ごっこの本当の始まり。