表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界の新生活  作者: 夏のさくら
三年目の夏
4/13

第四話


「おぉ、坊主か」

 ふと、後ろで声がした。

 馴染みの声だ。

 振り返って見ると、緑の肌の小男─ゴブリンが居た。

「あぁ、ケルハさん。久しぶり」

 この人はケルハ。この近くにあるゴブリンの野営地で暮らしているらしい。

 ケルハさんが「水飲みてぇからちょっと出な」と言ってきたので、慌てて水から上がった。

 前に、ここで出会ってから、彼には色々と助けてもらっている。

 冬には食べ物を幾つか貰ったし、火の付け方も教えてくれた。

 彼がゴブリンだけど、話が通じるいい人だ。

 すぐに怒鳴るピレとは違って。


 最初、ケルハさんと会ったとき、俺が話しかけると驚いていた。

 ゴブリンは、人類と見なされることもあれば、魔物とされることもあったらしい。

 特に、魔王の頃には軍門に降っていたから、魔物とされて討伐対象だったようだ。

 魔王討伐後には、ゴブリンの王が討たれたことから、散り散りになって、今に至るという。

 だから、人間からは魔物として、追われることが多かったから、驚いたんだと。

 まぁ、俺にとっては気のいいおじさんだけど。


「やっぱ、ここの水はうめぇな。生き返るわ」

 泉から直飲みしていたケルハさんは、口許を拭って言った。

 俺は同意して、彼に最近のことを聞いた。

「あぁ、最近はなぁ、ダメだ」

「どうして?」

「毎年、夏が寒くなってってる。村の麦も、稲がすかすかになってるのが多い。こういう年は、森の恵みも少ないからな」

 貯め込んでおいたほうがいいぞ、と。

「わかった、後でピレにも言っとく」

 ケルハさんはピレとも一応知り合いだ。

 水汲みは交代制でやっているから、時々会うらしい。

 日向に座りながら、しばらくケルハさんと話していた。

 俺の濡れた身体が乾く頃、ケルハさんは立ち上がって去っていった。

「じゃ、坊主。またな」

「気を付けて」


 草を掻き分けて、ケルハさんは帰っていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ