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王子様の降る日 〜今日も死体の降る星で少女は待っている〜

作者: 海を見に行く

 


 誰かが車から投げ捨てた缶が、道路にかん、と跳ねる。

 ランドセルを背負った小学生がそれを見て、立ち止まり、缶を拾い上げた。


 唇を結んでそのまま歩き出し、コンビニに差し掛かると、店の前にあるゴミ箱へ、缶を放り入れた。


 ありふれた赤い炭酸飲料の缶は、ゴミ箱の中で、溶けるように消える。


 ぼすん、と砂漠の惑星に缶が降ってきた。


 砂はやわらかくさらさらで、缶は埋まってすぐに見えなくなる。


 ここに降るのはゴミだけではない。

 誰もいない惑星には時々、猫や犬、赤ん坊、そして死体が降ってくる。


 ずいぶん前にここに降ってきてそのまま住み着いた少女は、砂漠を歩き回って、生き物が降ってきていないかを確認して歩いている。


 見つけると保護した。

 捨てられたものたちだけがこの惑星にどうやらたどり着くらしい。


 少女は小さい時にここじゃないどこかの場所の、絵本で見た王子様を待っていた。


 猫や犬や赤ん坊が降るのなら、王子様だって降ってくるはずだ。


 しかし今日もぐるぐるに巻かれて重しをつけられた死体が降ってきただけだった。


 少女は手を合わせて、砂漠に沈んでいく死体を見送った。


……いつか王子様が降ってきますように。


 くるりと踵を返して、少女は砂風に髪を乱されながらも颯爽と歩き出した。



        おわり


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