いざ、合宿へ vol1
漫研本格始動、その為の合宿先を決めたかったのだけど・・・
いざ、合宿へ 1
漫研の活動は軌道に乗りつつある、私が広瀬さんに絵の指導をして居たのだけど、広瀬さんも、それなりに見られる絵を描けるようにはなって来たみたい。
ただ、背景を創作する事が出来ないみたい。
やっぱり合宿が必要だよね~、と言う事で提案して見た。
「ねぇ、皆、夏休みに合宿やろうよ、背景とかの勉強になるよ?」
「良いんじゃない?私、お父さんのコンパクトカメラ借りて来てあげる、フイルムは部費で出してよね~。」
「私賛成~、温泉も入りたいし~。」
「ちょっと部長の渡しを置いてきぼりで決めないで~、賛成だけど。」
「じゃあ良いじゃない、きまりね~。」
「どこ行こうか、道内とか言わないでよ~?」
「う~ん・・・私は東京に行ってみたい!」
「あ、それ私も行きたい~、東京タワーとか、渋谷、原宿とか!」
なんか変な方向に行ってしまった気がするので私は方向修正してやる事にした。
「でも、東京に温泉無いよ?」
本当は有るのだ、私は知って居る、普通の銭湯が実は沸かし湯温泉だったりするのだ、温度の高くない鉱泉とかが意外とあるのだ。
「うーん、温泉無いかぁ・・・じゃあ、横浜とかどう?」
「横浜にも温泉は無い気がするけど、確か神奈川県なら温泉は有るとは思う。」
「でも、東京行きたいなぁ、ディ〇ニーランドとか。」
今年4月に開園したばかりの東京ディ〇ニーランドは、やはり皆チェックして居るみたいだ。
「あ、ディズニーは東京じゃ無いよ、あれって千葉なの、本当は。」
「えぇ~、東京なのに~?」
「でも千葉なら温泉あると思うよ~。」
でもディズニーの周り何にも無いんだよねぇ、まだ・・・
つい声に出て居たらしい。
「え、未だ周りに何も無いってそんなこと知ってるの?」
「あ、うん、多分ね、千葉県って私達が想像するよりもすっごく田舎らしいから。」
「何だ、多分なんだ、じゃあ、行き先決定で良いかな?」
「え、マジでディズニー行くの?」
「うん、むっちゃくちゃ行きたい!」
「マジで?近所に他に何にもないよ?」
「判ったよ、じゃあ温泉はお預けだね、東京タワーとディズニーランド、後、気が向いたら浅草寺とかも行こう。」
「浅草寺って雷門?」
「そう、そこ、寅さんの映画に良く出て来るあそこ。」
「私はそこは良いかなぁ。」
「何で?行っといたら良いのに、修学旅行でも行くかもな所だけど、タワーもそう言っちゃえばそうだし、どうせだからさ。」
「さとみ、何故か行った事ある様な言い方するよね、変。」
恵美に突っ込まれた。
すると何かを悟ったような陽子が何故か私を擁護する。
「え、でも良くテレビとかに出て来るから何となく分かるでしょ? 私も行ったような気になる事あるもん。」
ここは乗っかっとこう。
「そうそう、そんな感じ、後、原宿って実はあの行く年くる年で毎年撮影してる明治神宮の近所にあるって知ってた?」
話をぶっ飛ばして見た。
「え~?まじで~? 原宿だよ? 明治神宮って神社だよね?」
意外な事実に食いついてくれて話題が逸れた、ラッキー!
「本当だよ、私地図で見たから間違い無いって。」
「何だ~、地図で見たんだね~、ディズニーもそうなんでしょ?」
「うん、マジで何にも無かったよ、周り、普通の住宅街・・・。」
完全に誤魔化す事に成功、よっしゃぁっ!
「じゃあさ、早めに泊まるとことか決めないと駄目じゃん、今日代理店行って見ようよ。」
「うん、それは良いんだけどさ、顧問って協力的? 合宿先決めても多分引率として顧問居ないと契約書って作れないよね? どうなの部長。」
私がこの部に入ってから今まで、顧問がこの部室に来た試しが無かったのだ。
道理で漫画見てダラダラするだけな部になって居た筈だ。
「えっとね、顧問の先生ってさ・・・アレなんだよね、何故か歴史の西山先生なんだよねぇ・・・協力的では無さそうだよね?」
「うん・・・絶対真面な手段じゃ協力的な行動はしてくれないと思う・・・。」
最悪だった。
何であんなカタブツが漫研の顧問なんだろう。
漫研自体を潰そうとしかねない人物が漫研の顧問なのであった。
でも、私は入部届を出した時に、ほんの僅かだけど西山先生の気持ちが読めた気がして居たのだ。
今の漫研を変えられる子だったら良いんだけど、的なニュアンスの感情だった気がする。
「仕方ない、今日は無理でも認めさせるような漫画を描いて見せてやったら少しは変わるかも知れないしやって見る!」
私は啖呵を切ってしまったけど、正直自信は無かった。
「あの先生、他しか日本史が好きだったよね、それも安土桃山、好きな武将が・・・確か伊達政宗。」
「そうか、それじゃ伊達政宗物語でも描くしか無いね~。」
「うえぇ~、さとみ何でそんなに前向きなのぉ~?」
「何それゲロゲロ~。」
うっさいわ!やって見ないと判んないっしょ!
いいわよ気合い入れて描くわよ、言った手前負けたくないもん!
「思いついた事はやろう、皆手伝ってね、皆で担当分けして描くんだよ、先ずは部長は私とシナリオ考えよう!背景は比較的恵美が上手いから恵美は背景に使えそうな資料集めて、陽子は恵美のお手伝い、鈴木さんと森さんは歴史の資料集めて来て!」
キッチリ二人一組な組み合わせだったりするので一人で辛い作業でも2人づつなら何となく何とかなるもんだ、これなら行けるかも。
「お~、なんか楽しくなって来たかも~。」
恵美がノリノリだ。
「うん、良いね、皆でやり遂げよう、それでダメなら諦めもつくよ。」お、広瀬さんもたまには部長らしい事言うんじゃん。
2年生だけの、1年生も居ない部だけど、初めて一致団結した気がする、ちょっとこう言うの良いかもね。
こうして、顧問の西山先生を唸らせる漫画を描く計画がスタートした。
何で一人で描かないかって、そんなの決まってるじゃん、全員でやらなきゃ意味が無いからだ。
そして皆も乗り気になってくれた、今こそ全員で漫画を描くべきだ、私はそう思ったから提案したのだ。
図書室から戻って来た恵美と陽子が、素敵な資料を持って来てくれた。
「ふっふ~ん、良い物見つけたよ、ほら、お城の内装みたいなのの資料~。」
「おー、良いね、その資料恵美に描いて貰う部分多くなりそうだからしっかりデッサンしといて、陽子も一緒に幾つもデッサンしといて~。」
「「了解~。」」
「こんな資料でどうかな?」鈴木さんだ。
「おお、甲冑!良いじゃん良いじゃん、良く在ったねこんなの、私メインで絵を描くから甲冑の資料有り難い!」
「私はこんなの集めて来た。」森さん、何集めて来たの、そんな大量に・・・
「どれどれ?・・・おお!伊達政宗の伝記みたいな風な小説とか歴史資料だ、これだけあったら良いのが描けそう~。」広瀬さんも乗って来たみたいで嬉しそうだ。
そして今日の部活は、資料を読み耽るのに明け暮れたのだった。
下校時、偶然だったんだけど、西山先生の思考が流れ込んで来た。
(漫研の連中、全員で何か始めたみたいだな、どうやら新入部員3人が何か動かしたかな? ちゃんと部活らしくなってくれると良いんだけどね、今年の3年が抜けたら途端にアレだったからな・・・)
うん、どうやら私の方針は間違って無かったみたいだ、やり遂げなきゃね、夏休み前に。
6人で色々話しながら校門の前まで来ると、何処かから誰か男子の思考が流れ込んで来た。
私達を見て居るようだから、校庭に居る野球部か、サッカー部?当たりかな・・・
何故だか、と言うか中学生男子何かそんなもんかも知れないけど、ちょっとエッチな感じの思考だった。
もう、良いけど私達の誰かがオカズになってるって事よね、ちょっと微妙、でも私は見た目通りの年齢とは言い切れないから許す!w
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