大阪へ
陽子との約束を実行に移し大阪へ・・・
大阪へ
陽子と別れて家に帰った私は、速攻で宿題を済ませた後、読書に耽っていた、読書と言っても少女漫画雑誌だけど。
私の性格は宿題なんてものを何時までも放って置けないのですよ、だからこそ、女だてらに時期部長とまで言われる地位まで上り詰めた訳だ、与えられた仕事はキッチリこなして来たのである。
とは言え、一週目の中学時代はそこまでキッチリこなして居たとは言い難いのだけれども・・・
51歳まで生きた記憶が今の私の性格を確立して居るとも言えるかも知れない。
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恒例になって居る恵美との長電話を終えた後、お風呂に入って早めに寝る。
今の私の知識や学力だと明日の予習や、今日の復習は必要無くなって居るので、極力睡眠時間に当てる事にした。
睡眠時間を増やす事にしたのには、私ならではの理由が有るのだ、あまり言いたくは無いけど、これは切実なのだ。
どう切実かって、・・・その、ね、これはさ、とっても、ほら、その、デリケートな問題で、ね・・・
私は一週目の人生では貧乳だったんだってば!!!
平成辺りまで来ると胸の発育には中学生高校生頃の睡眠が重要だって言う研究結果がちゃんと出てたんだもんっ!
だから睡眠時間しっかりとって今度こそは貧乳だのペッタンコだの洗濯板だのロリババアだの言われないように成るんだもんっ!
うっさい!なんか文句ある?! 女性にここまで言わせるんじゃ無いわよっ!・・・
ま、私が自分で言ってるんだけどさ、はぁ・・・
寝る前に感情高ぶらすなって話よね、全くその通り、おやすみなさい。
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日曜日、今日は陽子と無理矢理こじつけた約束で大阪に行く日だ。
だけどその前に用事を済ませておかないとね。
そう思って陽子との約束の時間を11時と遅めにしたのだから。
朝8時、ミン〇-モモは見れないけど、一週目の人生でレンタルビデオ店で借りてさんざん見倒したので大体覚えて居るので良い事にして時計台へと急いだ。
アッチの街へ入ると先ずは早い時間から開いて居る軽食喫茶みたいな所で食事をして、9時半の箒屋の開店時間迄食事をしながら時間をつぶした後、箒を受け取りに行く。
試乗をして見たら、私の魔力の性質をあの石板みたいな魔道具が記録しているらしく、私に合わせたセッティングにしてあるそうで、非常にすんなりと飛ぶ頃が出来た、しかも思う通りに勝手に飛んでくれる、これは便利だ。
箒屋のおばさんに礼を言って大急ぎで時計台へと箒に乗ったままで帰る事にした、が、その前に、大阪への出口は無いのかと聞いたら、すんなりと教えてくれた、これで超時短が可能だ。
箒屋のおばさんが私にと、オマケで魔女っぽい鍔の巨大な帽子をオマケで付けてくれたんだけどこれは余り要らない気がしたのでどうしようかと悩んで居たら、ステッキの変化した指輪はストレージが内蔵されて居るのだが、魔法石以外も収納出来る事が判った、箒も収納できそうで安心した。
箒で時計台へ向かうと、街の出口を出た後上に出口があったので多分これが箒用の出入り口なのだろうと思い飛び込んで見たら、大当たりだった。
ここからなら札幌の街並みが良く見える、相当の高さだったと思う。
下を見て居ると、30分も前なのにもう陽子が時計台前に来ている事に気付いた。
もう、可愛いんだから、陽子ちゃんったら.
そっと真後ろに気配を殺して降りて、箒を仕舞うと声を掛けて見る。
陽子は「キャッ!」と到底不良女子中学生が出さなさそうな悲鳴を上げて驚いた、うんやはりかわいい、こいつにはスケバンなんて似合わない、何とか更生させよう。
それにしてもすっげぇ化粧をしてるな、こいつ・・・ナチュラルメイクってのを知らんのか? あ、そうか、この時代は化粧ってこんなもんだったかも。
すっぴんでも十分可愛いと思うけどなぁ、中学生だしねぇ。
あまりにも厚化粧なおばさんメイクだったので、直してやる事にしよう。
しかも何故か改造制服だったし・・・
この際これは私がちょちょいと変えてしまおう。
「ちょっと陽子ぉ、何そのお化粧、あんたのとこのおばさんが制服着て居るのかと思った。」
「え、そんなに老けてるか?」
「老けてるとか言うより、厚化粧過ぎる。」
「じゃあどうやったら良いんだよ。」
「私に任せて、お直し用の化粧品持ってるんでしょう? クレンジング迄は無い・・・よね。」
「流石に、無い。」
「陽子ん家行こう、直してあげるから。」
「ちょっと待て、時間ねぇだろ?」
「まぁ良いから良いから。」
急いで陽子の家へ戻る事になった。
陽子のこのパーマを掛けてアンドレ・ザ・〇ャイアントかブ〇ーザー・ブロディーみたいな髪型も何とかしよう。
元のメイクを一気に落とし、陽子の持って居るファンデやアイシャドー等をチェックするも、どれも母親が使って居る様な昔のキツイ色味の物ばかりだったので、今週放課後毎日使って集めて置いた私のメイク道具をストレージから取り出して使う事にした。
サッと薄くメイクを走らせると物質変換の応用で陽子のチリヂリパーマをストレートの綺麗な元の髪に戻すと同時に着ていた改造制服も清楚な感じの洋服に変換する。
さ、これで出発出来る。
「な!なんだこれ!服が!」
「ふっふーん、驚いたか!」
「なんで?着替えてねぇのに!」
「そんな事よりほら、可愛くなったわよ、陽子ちゃん。」
と鏡に向かせる。
「えぇっ!?パーマは?何これ、私?えぇぇ?」
「ね?可愛くなったでしょう?あんた元が良いんだからあんなおばはんメイクやチリヂリパーマ勿体ねーって。」
「いやそうじゃ無くて、何でストレートに??えぇぇぇ???」
「説明は後!さ、行くよ?」
箒を何も無い空間から取り出して横にして浮かせる。
「さ、座って座って?」
「え?え?え?え?えぇぇぇぇ~~????」
「良いから良いから。」
パニックする陽子を無理矢理に浮いた箒に座らせると、私も箒の前側に座って窓を開けるとそのまま飛び出す。
「頭ぶつけないようにしてね~。」
「えぇ~~~~????」
そして空中のあの街の入り口の空間の揺らぎに向かって飛んだ。
入り口の前で、例の鍔のでっかい帽子を取り出して陽子に被せる。
揺らぎを抜けると一気に景色が変わる。
「えぇぇぇぇぇ~~~~!何ナニ何なにナニぃ~~~????」
陽子大混乱、ちょっとかわいそうな事したかな・・・
そりゃ驚くよね、全く別な国に来たとしか思えない街並みが急に現れるんだから、いや実際違う国なんだろうけども・・・公用語英語だしね。
そのまま教えて貰った大阪への出口を目指し、揺らぎに突入。
揺らぎを抜けると其処は、通天閣の真上だった・・・
「なっ!?・・・」
「えぇぇぇぇぇぇ~~~!!???」
二人とも混乱してどうするんだってツッコミはこの際受け付けません。
余りにも人の多い位置に出てしまってパニック気味に脱出を試みたけど見つかって無いよね・・・
なんか、時計塔と言うだけの事はあって有名な塔や時計の有る所に繋がっているっぽいんだよね、無茶するなぁ・・・
すると東京の出入り口は東京タワー?
とんでもねー事ですよ、それ、どうやって見つかんないようにしろと言うんでしょうね。
とにかく、新世界はとても人が多くてとても降りられそうにない。
さて、何処に降りよう・・・
去年、私の所へ届いた高橋君からの手紙の住所は吹田市になって居た。
大阪市のお隣にして田舎というイメージの地域だったかな?
わたしがタイムリープする以前の吹田市は再開発が行われて高層マンションが建ってたりしてたけど、平成に入る前の吹田はまだ田舎の筈だ。
東京で言う所の、八王子や町田市、日野市や桧原村みたいなイメージかな?(桧原村は言い過ぎたかも。)
だけど今はバブル以前なので尚更田舎だろうね。
吹田市まで箒で飛んだ後、降りられ砂場所は割とあったので適当に人目に付かない所で降りた後、高橋君から来た手紙の住所をメモして来ているので確認する。
「はぁ、あんたがどうやって住所調べたのかは知らないけどもう今更驚かないわ・・・」
「え、ここは驚いてくれて良かったのに。」
「空飛んだり服が私も持って無いのに変わってたり髪の毛ストレートになってみたりもう十分驚いたっつーの!」
「あははは~、それは良かった、やってみた甲斐が有るわ。」
「一体何なの?そろそろ説明してくれる?」
「いいよ?すっごくド直球で言うとね、私ミン〇ーモモなの。」
「はぁ?それはあのアニメだろ?」
「うん、そうだよ? つまり私は本物の魔法少女って言いたかったんだけどね。」
「・・・もうね、何処から突っ込んで良いのか解んないけど何処に突っ込んでも勝てそうな気がしないからやめた・・・」
「うん、賢明な判断。」ニコッと笑ってみせる。
「あ、有った有った、この辺だわ、住所。」
「な、なぁ、マジで行くのかよ・・・」
「今更ビビってんの? スケバンが聞いて呆れるぞっと。」
「わ、わぁったよ、行けば良いんだろ?行けば。」
「ここだね~、有った有った、このマンションの3階。」
この時代多かった管理人室がエントランスの横にあって窓口になって居るタイプのマンションだった。
「すみませーん、3階に高橋さん一家お住まいですよね。」
「はいはい、居るよ~。」
「中学生の男の子がいる北海道から引っ越してきた高橋さんで間違いありませんか?」
「ええ、間違い無いよ、あんた達見た感じ中学生ぐらいやけど、もしかして北海道から来たりしたん?」
「実はそうなんですよ~、どうしても会いたくて来ちゃいました。」
「さよか、でも残念やね、雄介くん少し前に出掛けて行ったしもたよ、友達と一緒に。」
「あ、そうなんですか、どちらに行ったか判りませんか?」
「うーん、多分、釣り竿持ってたから川じゃ無いかね~、近くの川で良く釣りしとるから、あの子達。」
「有難う御座いました、管理人のおばさん。」
「気を付けて行きなね、河原は足場悪いから。」
「河原だって、行くよ陽子。」
「な、なぁ、ちょっと待って、心の準備が。」
可愛い、陽子ちゃんったら。
スケバン姿よりも、今の姿で恥じらうと無茶苦茶美少女じゃ無いの!
ガチガチに固まる陽子の背中を押しながら釣りをして居る男の子3人組を目指して歩く。
「陽子、ここからそーっといくよ、もう何時までも固まって無いで諦めて気持ち決めなさい!」
「あ、あぁ、わ、わかったよ。」
と言って深呼吸する陽子。
「よし。」
と小声で言うとそろそろ歩き始める。
丁度高橋君の後ろ位迄近づいたところで、私が声を掛ける。
「釣れますか?」
ばっと振り返った3人の男の子達、勿論その中に高橋君が居た。
「何やお前ら? この辺で見ん顔やな。」
「あ、あれ?お前ら、何でこんなとこに?」
「何や雄介、こいつら知っとるん?」
「うん、小学校の同級生だよ。」
「ほほぉ?お前の事探しに来たんちゃう?」
「そうよ、但しこっちの陽子がね。」
「ひゅーひゅー、モテルやんか雄介~。」
「あなた達は私がお話し相手になってあげるからこっち来てね~、ちょっと二人にしてあげてね。」
「あ、あぁ、ほないこか。」
腹を括った陽子は、ちゃんと自分の思いを伝えられるだろう。
もしも其れが、振られる方向に転がったとしても、気持ちの整理を付ける為には必要だ。
それが出来なかったからこそ陽子はグレて、私に八つ当たりしてたのだから。
高橋君の友達の子達が話しかけて来る。
「お前割とかわええんとちゃう?」
「雄介の同級生って事は北海道やろ? 札幌?」
「うん、そだよ、札幌だよ。」
「ようここまで来たよな、二人だけで、どないして来たん?飛行機?電車?」
「うーん、ある意味飛行機かな? ひみつ~。」
他愛も無い会話だけど、50年以上生きた記憶がある私には中学生男子じゃ物足りない、甥っ子と話してる感覚だね。
適当にあしらって居ると、どうやら握手して居るようだしうまい具合に良い方の結果になったのかもしれない、少し離れた此処からでも陽子の顔が真っ赤になって居るのが判る。
手紙のやり取りでも始めたら陽子も満足だろうな、なんて思いながら様子を窺っていた・・・のだが、なんかこっちはこっちで問題発生・・・
「なぁ、文通してくれへん?」
は?何でそうなった?
関西の方が積極的だとは聞いて知ってたけどさ、いきなりそれって告白されたのと同義じゃ無いのよ。
「あ、お前抜け駆けか、おれもええかな。」
あのなぁ・・・中身おばちゃんなわたしゃ中学生男子のお子様なお手紙貰っても嬉しかねぇんだってばさ。
「ちょっと待って、何でそうなるの? 私は陽子に付き合ってこっち迄一緒に来ただけなんだってば。」
ぐいぐい来るね、この子達・・・
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結局、強引に文通をする羽目になった、しかも二人と・・・
携帯電話とか無い時代なのでラインとかも無いので文通が普通な時代、とは言え私にはそんな物はどうでも良いのに、何故こうなったのだろう。
中学生男子にモテたってしょうがないんだってばさ・・・
誰か何とかしておくれ・・・
兎に角、陽子はしっかり想いを伝える事が出来、遠距離恋愛をスタートさせるべく文通を開始するそうなのだけど、私まで付き合って文通する羽目になるとは思いもしなかった、めんどくさいなぁ・・・まぁ、これでスケバンなんかやめてくれるだろう、元通りの仲良し3人組に戻れそうだ。
高橋君にお別れして、私達は又人目に付かない所へ、そして箒で飛び上がって帰る。
「なぁ、さとみの秘密って、これ一体どう言う事なのさ。」
「驚いたでしょう? 実は私は魔女なのです。」
「あの、途中通ったあのへんな街って、何?」
「あれは、魔法使いたちの街でね、多分ほぼイギリス。」
なんか興味ありそうなんだけど、実は陽子からは強くは無いけど魔力を感じては居るんだよね、だから話しても良いかなって思ってたんだけど。
アークウィザードの私と一緒に居る事で魔力が活性化して目覚める事も有るかも知れないしね。
序でだから魔法石を幾つか陽子に渡しておくことにした。
「陽子にこれあげる、お守りだから大事にしてね。」
「なんか奇麗な石だね、貰っとくよ、あの、さ、ゴメンな、ありがとう。」
うん、陽子ちゃん可愛い、このメイクで照れられると堪らん、たぎって来たよ~、萌えるわ~。
こうして怒涛の一日は過ぎたのである。
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