陽子
陽子の元へ急ぐさとみ、かつての友情は取り戻せるのだろうか。
陽子
「さとみ~、気を付けて帰りなよ~。」
「うん、御免ね皆、恵美、ありがと~。」
皆から離脱して指輪を嵌めて、ステッキに戻す。
意識を集中すると陽子の居場所が何となく分かった。
ステッキをもう一度指輪に戻すと、走り出す。
あった、ここの路地裏だ!
ジャンプして上から確認するとやっぱり狭い路地だから反対を向いてる見張りが居た。真上から見張り役を無力化する未だちゃんと制御し切れない魔法なんか使わないわよ?
真上から降りつつ蹴飛ばしただけなんだからね?
そのまま走り込んで最後尾のちょっと体の大きな人に背後からタックルをかます、すると流石に背後から攻撃されてはどうにもならず勢い余って陽子を蹴ったりしてる二人を巻き込んで倒れた。
そのまま陽子の手を掴むと走り出す。
うまく逃げ切った。
「馬鹿野郎、さとみテメェ何してんだ。」
「馬鹿はどっちよこの不良、高校生に脅かされて不良やってるんじゃ無いでしょうね、あんた。」
「ち、ちげぇよ、何であたしなんか助けてんの、バーカ。」
陽子のほっぺを軽くはたいて、「当たり前でしょう?仲良し三人組でしょうが、助けない筈無いじゃん! そんな事より怪我は無いの?どっか痛くない?」
「ば、馬鹿野郎、そんな昔の事、持ち出してんじゃねぇよ。 体は大丈夫だ、何処も痛くねぇって。」
本当は蹴られてた腕とか痛いくせに・・・
「そもそも何であんたグレてんの、ホント馬鹿なんだから!それに恵美には何で絡まないであたしには絡むのよ、理由が有るなら直接言いなさいよバーカ!」
「う、うるせぇな、そんな事言えるかよ、バーカ。」
でも今の私は陽子が何故私だけに絡むようになったのか、その理由も分かって居た、それは陽子の心の声が聞けるようになったからなんかでは無い、私が時間を遡る前、同窓会で聞いて居たから。
それは私達が小学6年生の卒業式の前日の話だった。
私達と仲が良かった男子グループが居て、その中の高橋君、彼の事を陽子は好きだったらしい、だが彼は、卒業式の後、父親の転勤の都合で引っ越して大阪へ行ってしまう事になって居た。
その彼が想いを伝えたのは、陽子にではなく私にだったのだ。
たったそれだけの事で陽子は、中学に入ると同時にグレて、私に絡んで来るようになったのだった。
ちなみにその時の男子グループの高橋君以外は同じ学校に居るのだが、あの時の高橋君の事件の事も有り、中学生で女子と仲良くするのは恥ずかしいと言う思春期男子にありがちな理由で疎遠になって居た。
そのうち2人は陽子とクラス一緒なんだけどね。
「ってかさ、私、陽子がグレて私だけに絡んで来る理由、心当たり有るんだよね~、言ったら怒るでしょ?」
「何だよ言って見ろよ、怒んねーから。」
「何時も何も言わなくても勝手に怒ってる癖に?」
「今日は・・・さっき助かられたから、怒んねーで居てやるから。」
よっしゃ!黒歴史暴いてやるw
「私が高橋君に告白されたのが気に入らないんだよね、高橋君の事好きだったんでしょう?」
「ば、ちょ、ちが!」
「わないよね、しかも私が高橋君の事振ったから尚更怒ってるんだよね?」
「・・・・」
陽子は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「図星だぁ~、陽子かわいい~。」
にやにやしながらからかうと、陽子が怒り出す。
「てめ、許さねー!」
「おっと、怒んないって言ったじゃん、怒っちゃダメだよ、今日は、ね。」
「それとこれとは別だろ!」
ますます真っ赤だ、可愛い、可愛すぎる。
「ね、怒った序でだけど、高橋君に陽子の気持ち伝えられなかった事後悔してるんでしょ? 今度の日曜日、付き合ってあげるから伝えに行こう!」
「馬鹿、そんな簡単に行ける所じゃねぇだろ!」
「大丈夫、私にはある秘密が有るのだ、陽子が誰にも言わないって約束してくれるなら高橋君の居る大阪まで連れてってあげる!」
「わ、判った・・・」
陽子ったらもう耳まで真っ赤っかだ、目にはうっすら涙まで浮かべて居る、恋する乙女のままだったのだ、可愛い、可愛すぎるよ陽子ちゃん!
「うん、じゃあ、今度の日曜日、11時頃で良いかな?」
「11時って遅すぎるだろ。」
「大丈夫だからね、あ、それから、待ち合わせは時計台前で良いよね、じゃあ今日はあの人達に捕まんないように帰りなさいよ?」
「ああ、判った、また・・・」
別れ際の陽子はまだ顔を真っ赤にしていた、うん、不良なんてやっぱ陽子には向かない! 普通に可愛い!
此処は更生させてあげないと!
皆さんのご意見ご感想、お待ちして居ます。
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