魔法少女・爆誕・・・
何だかいきなり環境が大幅に変わってしまうさとみだったが、本人は意外と適応力が有るようです・・・
魔法少女・爆誕
次に箒の専門店に寄ってみる。
「いらっしゃい。」
こっちのお店は直ぐに人が出て来た、なんかいかにもって感じの魔女っぽいデカい帽子被ったおばさんだった。
「おや、初顔だね、登録したてかい?」
「はい、たった今さっき。」
「そうかい初めてか、それじゃ箒も合わせないとだね、魔力に合わせて選ばないと暴走したり、逆に浮き上がるだけで魔力が枯渇する羽目に成ったりするからね。」
と言いながらまたさっきのと同じ道具を出して来た。
「この道具は使った事ある?」
「ええ、さっきあそこのお爺さんの居るお店で。」
「あの業突く張りジジイのとこか、まぁあそこは品揃えだけは一番だからまぁ初めてなら良いだろう。」
さっき触ったのと同じ魔法道具に似たのが出て来る。
「さ、それじゃ持ってごらん。」
「はい、魔力注ぐんですよね。」
「ああ、やってごらん?」
さっきの道具とは少し違ってこっちのは純粋に魔力の大きさを測定する物みたいだ。
「ありゃりゃ、これは凄いね、これだと今うちにある物じゃ役不足だわ。」
「え、そうなんですか?」
「あんた、凄い魔力量だよ、ここまでのは珍しいね。」
「そんなにですか。」
「何が切っ掛けで魔力に目覚めたかは知らないけど、始めて魔法を行使した時ってこれだと相当な暴走だったんじゃないかい? 例えば大地震でも引き起こして街一つ壊滅しちまったとか。」
「えーっと、それは無いと思います・・・」
そうか、あのタイムリープ?は、魔力暴走だったのかも知れない、恐らくは、増幅器で有る所の杖も無しで、凡そ35年も時間を遡って貯金の額面だけ歴史をゆがめて迄持ち込むなんて・・・
魔力暴走、それだったら説明も付くのかもしれない、でもこんな暴走って人に言ってはいけないレベルの物なんでは無いだろうか。
そんな予感がして、そう言う答えになった。
「そうかい、お嬢さんまだ若いから暴走しないでゆっくり覚醒したかもしれないね。」
「で、私の箒ってどうなるんですか?」
「そうだね、素材から全部発注してオーダーメイド、ざっと見積もって金額は・・・」
計算器で何やら計算している。
「っと、こうだろ、それとこんな感じで・・・っと、ざっとこんなもんだね。」
また空中に数字が投影される。
[£320.000]
「流石にチョット高くなっちまったからね、手数料の端数はカットしたけど、お嬢さん払えるかい?」
「あ、はい、さっきの杖のお店で、私の魔石を買って頂いたので。」
「へぇ、あの業突く張りが魔石を買うなんて珍しいね、そんなすごいの持ってたのかい?」
「私の得意な魔法が、魔石の精製みたいで・・・」
「おや、珍しい魔法だね、見せておくれよ。」
「あ、判りました」
指輪に意識を向けて掌を上に向けると、又魔力を吸われる感覚が起きて、今度は7㎏程も有りそうな奇麗な半透明の石が現れる、何だかだんだん精製が上手くなってる気はするが、重い・・・
「何だいこれ! こんな魔石が何もない所から精製されるなんて初めてだよ! これならあのジジイが買った理由も判るね、私も買わせて貰う、200万ポンドで良いかい? 箒代金もチャラだ!」
「あ、はい。」
又おばさんの心の声は私に聞こえていた。
『凄い魔石だよ、こんなに澄んだ色でこの大きさ、300万ポンドは下らない、儲かるよこれは!』
爺さんの事を業突く張りと言う割には自分もそんなに変わらないんじゃ無いかと思ってしまった。
でもまぁ、これで良い印象は付けてくれるのだろうから良しとしよう。
「箒は来週までには出来てると思うからね、また来週おいで。」
因みに1ポンドっていくらなんだろう・・・とか思って、銀行みたいな所を探してみる。
ああ、あったここだ。
えーっと、ポンド=円の表はと・・・
〔£1=¥360.251〕
え?
この時代の1ポンドってこんなにしてたの???
じゃあ、じゃあさ、今貰ったお金って幾らよ!
杖のじいさんの方で150万でしょ、それとこっちで200万でしょう?
・・・・
360,251円×3.500.000・・・・
じゅっ・・・じゅう・・えぇっ!?
1.260.878.500円・・・・12億6千87万500円って・・・・うそぉ~~~~!?
これって、マンション1棟買えちゃう値段のような気がするんですけど・・・
思わず思いっきり叫んでました。
「どんだけぇ~~~!?」って
そして私は不動産に言って見る事にした。
「おや、お若いお客さんだね。」
「あの、すみません、日本の東京のマンション物件とか有りますか?」
「ええ、御座いますよ。」
「少し見せて頂いても良いですか?」
「はい、此方に有るので全部に成ります。」
分厚いファイルのような物を出して来た。
一部屋売りの物だけではなく1棟丸々と言った物件もあるようだった。
八重洲口付近のマンションで一棟売りと言うのがあった、未だ建築中だった。
12階建て54戸のマンションで、1棟18億・・・手の届かない額では無くなってしまっていた。
しかも私の魔石って、その気に成れば無尽蔵に作れる事になるのだから、平気だったりする。
と、ここまで考えて気が付いた・・・
マンションで財テクしなくっても私幾らでも稼げるんじゃねぇか!
何やってんだろうね、私ったら、そんな事今更気が付く事じゃねぇよ!
でも、面白いから買うのも悪くないとは思うけどね。
だって、考えても見てよ、八重洲のマンションって言ったらバブル真っただ中の全盛期、最高に値上がって最上階の4LDK、140㎡の規模の部屋になると一部屋30億とか40億とかの世界だったんだよ?
そんなマンションが1棟丸々で18億で買えちゃう、これ、完成が1年先位みたいだから3年も寝かせて売り出したら、その最高額には至らなくても最上階で10億とかになる筈、バブルの時代ってそうだったもんね・・・それが今から3年後位から来るんだし、買っとくと凄い儲けになる訳でしょう?
まぁ儲かれば税金取られるでしょうけど。
百億越えの儲けとかになるんじゃない?今そこまで計算するのは面倒だけどね、税額とか絡んで来るから。
「すみません、このマンションって、買えますか?」
「この1棟売り?売りますけど、買えるんです?」
「今、手元に350万ポンドほど有るので、後は魔石を売れば即金も可能です。」
と言って、さっきから活用して居る登録カードを見せる。
「ほう?日本円で12億以上も既にお持ちと。」
「ええ。」
「貴女の魔力の程をお見せいただけますか?」
「良いですよ。」
と言ってまた魔石を作り出して見せる。
「これは・・・恐れ入りました。」
「良いでしょうか?」
「はい、問題御座いません、偉大なアークウィザード様にお会いできて光栄です。」
え、私マジでアークウィザードになってたの?
始めて面と向かって言われた。
「もう一人だけ、魔石を生み出す事が出来る魔法使いを知って居ますが、こんなにすんなりとこれ程の物を錬成出来るのは、恐らく貴女だけでは無いかと。」
しかしこの不動産、掌返したように態度が変わったな・・・等と思ってしまった、こういう時こそ心を読めたら良いな、肝心な時に発動して無いんだよね・・・
「今錬成された魔石と12億、これで十分にお釣りが来ますから、すぐ手続きに入りますね。」
と言って後ろを振り返った不動産が、多分油断が出来たと言うか、気持ちが切れたのだろうか、心の声が今更聞こえて来た。
『あぶねぇ、この金持ち小娘殺っちまって金だけせしめようとか一瞬思ったけど、ぜってぇあんな物作り出せるレベルの魔女なんかに勝てる筈無い!ここは機嫌とっておこう、クワバラクワバラ・・・』
やっぱりかよ・・・そんな感じのやり取りだったなぁなんて思ったんだ、うん、知ってたさ。
手続きが思いの外あっさり終わって、私は帰る事にした。
来た時に出て来た路地に入って、正面の扉を開くと其処は来た時に入った時計台へ続く螺旋階段。
外に出ると既に夕方だった、お腹減った訳だわ。
ちなみに私は他にどんな魔法が使えるのかと思って、杖である指輪に集中して私の使える魔法の情報を引き出して見る事にした。
頭の中に、箇条書きのように出る。
・魔石錬成S
・物質変換A
・即応魔法A
・召喚術A
・時空操作C
・読心C
あれ?おかしいな・・・即応魔法って、あれよね、直接水を作ったりする奴の事よね?
魔石でやってた筈なんだけどな?
しかも4系統って聞いたのに増えてない?
それに宝石魔術って項目は何処にも無い・・・
それに物質変換自体も持ってたよ!
更には召喚術って?何が呼び出せると??
そして時空操作が有ったのは納得したけども、Cって・・・
よく私35年程も戻って来たものだわ、杖も無しに・・・
こうなると、私は多分魔力暴走によってこのタイムリープをしたと言う事なのだろう。
令和2年に戻る方法に関しては多分失われたと見て良いだろう。
まぁ、行かず後家お局OLには戻る気無いから良いんだけどね。
魔石錬成に意識を集中して調べると、魔石の錬成が出来ると言う事は当然宝石魔術は使えると言う図式、つまりは上位と言う事らしい。
詳細も判るのか・・・じゃあ、即応魔法に意識を持って行って確認する。
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使用可能魔法
・
・
・
・
・
・
・
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あれ?項目が空白だ。
そうか、魔法のスクロールみたいのとか、魔導書みたいなので覚えないといけないんでしょうね、恐らく。
だから何も無いんだね、そりゃ使えない訳だわ。
じゃあ、こっち、召喚術。
開いて見たが、説明文も漠然として居て何だか判らない。
これも、勉強する必要が有りそうだった。
物質変換だけは何となくわかる気がする。
試しに、魔石を一個作り、それを別の物に変換する
余り変な物を作ってもあれだし、簡単なものでいいやと、
試しに消しゴムにしてみる。 問題無く出来た。
そのまま、鉛筆にしてみる、これも問題なし。
では、と、これをナイフにしてみる、出来た。
本当に何でも作り変える事が出来るらしい、どうしたもんだろう。
試しに自分の知らないものにしてみる事にした。
ざっとそこいらに有った雑誌を読んでヒントを得る。
漫画に描かれて居る、騎士の持って居る盾が目に留まったので盾を作って見た。
これも出来てしまった、質量とかもどうでも良いらしい、何だろうね、この出鱈目な魔法・・・
色んな物に変換して見た後なのでこの、元魔石は水に変えて庭に撒いた。
物質変換、って事は服を別の服に変える事も出来るのでは?
と思って、着ている服を変換する事を試みる。
まぁ所謂魔法少女的な変身みたいなのを、レイヤーとしては夢に見ない筈が無いでしょう?
と言う事で、自室で指輪を杖に戻し、三回回すと戻っちゃうから二回転で止めて、構えて横に降ってと言ったポーズみたいのを取りつつ物質変換で可愛いドレスっぽい服をイメージ。
出来た、出来てしまった・・・序でに髪の色も変えてアイラインとかも引いたりして完成、リアル魔法少女の完成だった・・・
えっとぉ、憧れては居たけど実際出来ると、微妙に恥ずかしいのは何故だろう・・・
と、思って居ると、杖、と言うかステッキを持って居るせいだろうか、指輪形態にしてる時よりも魔法感度が上がって居るのだろう。
何だか悲痛な心の声がどこからか聞こえて来た。しかもこんなの聞いちゃったら寝ざめ悪い。
だって、自殺直前な感じの声なんだもん。
私は窓から飛び出して、声の方向へと屋根から屋根へと跳ねる様にして移動して行く、箒が無くてもこの位の飛翔は魔法がサポートできるらしい。
兎に角急ごう!死なれたりしたら私の食欲と安眠に影響が出る!
死ぬんだったらそんな悲痛な心の声私に聞かせるんじゃない!
本気で自殺なら他所でやって欲しい!私の魔法で聴こえない程度の遠くで。
居た!間に合わない!電車に飛び込んじゃう!ダメだって!止まって!!
・・・時間が止まった、私以外が全て停止していた。
電車も、飛び込んだ女の人も。しかも空中で。
時空操作の魔法が効果を表したらしい、それにしても、止まった時間を維持する間、スルスルと魔力を持って行かれる感覚がある、成程、これは眠くなるわけだわ、35年も時間巻き戻しすりゃ魔力の枯渇で眠くも成るわね・・・
とか思いつつ、取り敢えずは飛び込んだ人を抱えてジャンプ、止めてる時間を元通り動かす。
飛び込んだ人は、何が起きたのか判らないと言う感じで意識は混乱している。
抱えてたその人を下ろし、私は自殺を辞めさせるべく説得をする事にした。
「駄目ですよ~、簡単に死んじゃダメなんですからね。」
「え?・・・なに?・・・ミン〇ーモモ?」
ミン〇ーモモは確かにこの年代、放送された魔法少女アニメだったが、北海道内で恐らくはこのお姐さんの世代でそんな日曜日の朝10時なんて時間にそんな物を見ている人はまず居ない、それにむしろこの時代のこのお姐さんの年齢程の人でそんな物を見ているなんてあり得ない、何故ならば何だかんだ言いつつ札幌は給料が安い、このお姐さん位の年齢の北海道の女性は観光客相手に土曜の夜はクラブやスナックでホステスをして小遣い稼ぎをして居るのが普通なのだ。
そしてこのスーツ姿で有れば尚の事、こんな立派なスーツを着て仕事して居たりする女性はこの札幌にはほぼ皆無だった。
そもそもが私の今の世代、所謂中学生でも日曜の10時なんて朝っぱらからアニメ見ている中学生なんて私の他は恐らく極僅かだろう。
そこは私が如何にこの時点でアニオタだったかが知れると言う所だが、うるさいですよ? そんな事はどうでも良いじゃ無いですか。
従ってこの人は東京とかに住んで居たりする人なのだろう。
「駄目じゃ無いですか、何で死のうと思ったのか私に話して下さい?」
ポカンと口を開けていたが、私に諭されて話し始める。
「あ、はい・・・じつは・・・」
東京に出て就職をしたけれども、好きになった人に騙されて居て貯金も全て切り崩して使ってお金が無くなった途端に捨てられたのだと言う。
もしかしてメンタル弱い系の人だろうか、私なんか51年間彼氏無しでキャリアウーマンだのお局だの美魔女だのと言われつつも結婚の一つも出来ずに中年のおばちゃんになってしまった上に緊急事態宣言のお陰で鬱になりつつも死のうとは思わなかったと言うのに、こんな程度で死のうなんてアホでしょ!
そして、その人に、私は励ましの言葉を贈る事にした。
「あのね、おばさん!(中学生なんだから良いよね、この位言っても)簡単に死のうなんてヘタレ過ぎるっしょ! そんな時はなまら美味いもんでも食って元気になったら良いのよ! 後2~3年後には、経済が爆発的に急上昇してバブル時代に突入するんだから、今のうちから稼いで、借金してでもマンションとか買って財テクでもしなさい! そんでその貴女を騙した元カレなんか見返してやれるような金持ちで良い男を引っ掛けたら良いじゃ無いの!死んだら終わりなんだからね、判った?!」
私の剣幕をポカンとビックリしたように見つめてそのお姉さんは、「は…はい。」と一言だけ呟いた。
なのでもう一度釘を刺す事にした。
「あと2~3年後だからね、経済が爆発的に急速に成長する時期が来るの、だから、それまでに不動産とか借金してでも買って置く事、そして、跳ね上がったらそれを売ったら借金返してもお金余るから、それで良い男見つけて幸せになってね、お姉さん。」
「あ、貴女は、何?」
「通りすがりの魔法少女よ。」
仁王立ちで公言してしまった・・・恥ずかしい。
心の声を聞いた感じでは、彼女は福島出身で東京でOLしてた、自分を振った彼氏が札幌の出身の人だったのでこの札幌で当て付けに死のうと思ったらしい。
だけど私の言葉を聞いた後は、もう死のうと言う気持ちは消えて居たのでもう大丈夫だろう。
「それじゃあ、頑張ってね。」
と言ってジャンプしてその場を去った私。
魔法少女な恰好だったし恥ずかしかったぁ~。
その後、7月頃から始まったアニメ、クリィ〇ーマミのコスチュームが、私のあの時に創作した衣装にソックリだった・・・
あのお姉さんはアニメーターだったようだ、ミンキー〇モと言われた時点で気付くべきだった・・・やっちまったね、これは・・・
皆さんのご意見、ご感想等お待ちしてます。
後、気が向いたら評価お願いします。