仲間は揃った
そろそろ新章が始まります。
驚愕すべきことに、スパゲッティさんだけで、一つのギルドを壊滅させてしまった。
(いや~、あの時のスパゲッティさんカッコよかったね~。)
その後、スパゲッティさんの戦闘ムービーが出回って、『霊師』職業が空前の大ムーブを引き起こした。
『霊師』のみならず、『符文師』や『吟遊詩人』などのサポート系職業のソロが増えるなどのパーティー離れが増加。
多くのサポート系職業のプレイヤーが、スパゲッティさんに師事していた。
そのため、主人公のギルドはプレイヤー数こそ少ないものの、数多のサポート系プレイヤーとコネを持っている。
有名な話だと、ランキング第2位の『吟遊詩人』プレイヤーはスパゲッティさんが育てた。
「これでメンバー全員そろいましたか?」
そう聞いたのは主人公のギルドのギルドマスターであり、国家『ラーメン食おうぜ』の国王である。
プレイヤー名はそのまま『ラーメン』
主人公が『玉座の間』に転移?転送?されてから、他のメンバーも続々と『玉座の間』に来た。
話を聞くと、パソコンの質問に答えてからいきなりブラックアウトして、気づいたらここにいたとのこと。
主人公の遭遇とほぼ一緒である。
「ラーさ~ん、全然揃ってませんよ~。クリプトンさん、アウトローさん、毘沙門天さん、KATOさん、グダグダ・シテイターイさんがいませ~ん。」
語尾が少し伸びているのは『極細うどん』さんである。
主人公のギルドは超少数精鋭の組織。総数60名ほどで、全員が『玉座の間』にいてもまだまだ余裕がある。
(確かに、いないな~。でも、最近はログイン率が低いからな~。もしかしたら、問題を答えてないから、来れないのかな~。)
「その5名は自分がメッセージを預かっています。こちらの世界に来れないとのことでした。
ここにいる各位はご存知かと思いますが、ここに来る前に、とある問題を答えたと思います。その問題を思い出せる方は挙手でお願いします。」
(うん?問題……あっ、そうそう。あったあった。パソコンがブラックアウトしてからだれかに会って問題を答えた。その後、ここに来た。あれ?なんで答えたっけ、てか、問題なんだっけ?)
「思い出せないようでしたら、そのままで構いません。ここにいる全員、パソコンの問題で『はい』を選びましたね。
その後に、わたし達は本当に異世界に来る覚悟はあるのかと聞かれた筈です。是と答えた方はここに来て、否と答えた方は記憶を少し弄り、忘れさせたとのことです。
質問の間の記憶は皆、消去されて筈です。相当、シャイな方らしくって。
筈、というのも、自分も記憶が消されせおりますので。」
(なるほど、でも、シャイって何だろう?神様的存在にもそんな感情あるかな~。)
「残念ながら、さっきの5名の方は、問題には否と答えた様子です。
よって、この場にいません。
これからも。」
(は~、まっ、しょうがないっか~。もともと、最近付き合い悪いし、ある程度予見できたけどね~。)
「ここにいる各位皆様。ここは先程申し上げたように、異世界です。
『シェラン戦記』で使える『道具』や『技能』もここでは使えない可能性がある。
総員、『魔法鞄』の中身の確認を、使えるどうかは保留として、アイテムの有無の確認をしてください。」
(やっべぇ!オレ、結構アイテムや装備に頼る派だから。なくなる詰むんだけど!!!)
『玉座の間』にいる60名程のメンバー全員が目にも止まらぬ速さでメニュー画面を操作する。
60というのは、言い過ぎかもしれないが、何名かのプレイヤーはステータスにものを言わせて、本当に音速を突破して指を動かしている。
それもその筈。
主人公のように、装備やアイテムを中心としてやっているプレイヤーにとっては当然、大事。
そうでないプレイヤー。
ステータス自体自体強いプレイヤー、プレイテクニックが高いプレイヤーもいる。
だか、一部のひねくれ者を除けば、誰だって自分のものがなくなるのは御免被りたい。
数分間、『玉座の間』にいる60名程のプレイヤーの間に怒涛の沈黙が流れた。
幸いにも、使用できるかはさておき、だれも何にもなくしていないようである。
彼の方は実はシャイではないという疑惑が浮上!
というのは冗談です。
顔を見せないのはちゃんとした理由があります。