幕間 その一
序章今回で完結します。
東京都に位置するとある一室。
街を歩けば100人中99人以上は振り返らないだろう平凡なそうな青年が椅子に座っていた。
もしかしたら99人というのも適当でないかもしれない。
そもそも彼の許可なしに彼の存在を認識できる存在は、人族などの種族構わずに計算しても両手で数えられる。
人族だけで数えればもっと悲しい結果になる。
「あんりゃ?どうやら他にも居たようですねぇ、『世界間転移』をした方は。
いや、させたと言った方が良いでしょう。しかもかなり大量に、これの後始末をするのは私なんですがねぇ。
まぁ、樋口さんと似たようなやり方で大丈夫でしょう。」
口ではやれやれなどと言った感じになっているが、心の中では大して煩雑には感じてはいない。
彼にとってこのくらいのことは1も301もそんなには変わらない。
「これは、狙ったのでしょうねぇ、私が彼の後始末をするついでに自分の尻拭いも押し付けるつもりでしょうねぇ。」
彼はほぼ一日中ずっとこの部屋にいる。
けれども、ずっと他ののところにもいる。
いくつかもの次元に広がり、跨り、個としても、集としても存在している。
物質の限界など気にも留めない…訳ではない。してなかったら世界が粉々になっているから。ひどい場合は粉という概念も存在できるかは微妙ですが。
「さて、これで良しっと。そこまでめんどくさい訳でもないから、別に良いんですけど。自分でもできますよね。
しかも、便乗する方が300倍も多いってなんですか。」
彼は先から終始部屋を出ていないが、確かに彼によって今回の事件は事なきを得た。
余程のことでもない限り、彼はそもそも、何かをするのに動く必要がないから。
「にしても、あの子が作ったゲームって凄く面白いよねぇ。良い意味でも、悪い意味でも面白いよねぇ。
世界の創り方を教えた時は、こんな面白い世界を創れるとは全然思わなかった。
色々お世話になりましたしねぇ。
そういう意味では、今回はその借りを少し返した、ということにしますね。」
そうやって、青年は勝手に自己完結して、借りを一部返したことにした。
他所から見たら全く釣り合わない。
片や『世界改変』レベルの威能であり、片や只のアイディアだ。釣り合うわけがない。
だがしかし、青年はそんな判断基準などどうでもよかった。
彼は自分にできるかどうかで価値を決める。
この程度の『世界改変』などお手の物、大した手間も掛からない。
それに比べて、何かを思いつくことは非常に困難で、価値があると彼は考える。
「さあて、どんな面白いことを見せてくれますか?エイくん♪」
この青年さん誰か分かった方はいらっしゃいますか?
あと、エイくんの正体は後期になって出てくるよていです。