権力ゼロのラーさん。
有言実行の二回め投稿です。
主人公は身体能力向上系統のスキルをフルに使って、音速レベルで颯爽に『玉座の間』に向かった。
舞雷九さんは狂喜の舞をまだ踊っていた。
王宮内を亜音速の猛スピードで走り抜ける一筋の風。
だろであろう、主人公である。
アサシン系統はスピード増強スキルが多様多彩にある。
いつもならMP消費とバランスを考え、豊富なスキルメニューから二、三選ぶ主人公だが、今は違う。
一、ここは王国の最重要施設。そして最前線に建てられている。
王宮は国の最も頑丈な建築物である、前線には頑丈な建築物が必要である。
ならば、王宮を最前線に建てようじゃないか!という信念に基づき、三つの国が接する場所に王宮は建てられた。
二、スキルの確認を命じられているから、ついでに試さなければならない。
現状、危険はないように思えるが、未来と運命に関してはまるで分からない。
いつ何かが起きては遅い。やれる時にやっておかないと後悔することだってある。
三、これが一番の理由である。
兎に角兎も角、このことを一刻でも早くとにかくラーメンさんに伝えなければならない。
一と二はあくまで付随、三こそが真の理由。早く伝えたい一心で主人公は更に加速する。
「ラーーーーーーさーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!。」
バタン!
質量加速度的にとんでもない力学的エネルギーを持った主人公がドアを荒々しくバンと開ける。
別にかぎをかけたわけじゃないが、『玉座の間』のドアはドアノブがついてて、それをまわしていない。
何より、記憶に間違いがなければそれは外開きのドアで、今は何故か内開きになっている。蝶番とドアノブにお愁傷様。
「きーーーいてーーーーー!!!!」
『玉座の間』にいる全メンバーがドン引きを決めている間、主人公はそんな視線をものともせずに一直線に突進する。
誰もが、その不審者の変態すら裸足で逃げるようなキチガイは自分の仲間であることを分かっていた。されど、誰もが秒で戦闘準備を終え、とにかくラーメンさんに至っては武器である盾を構えた。
ゴンッ!!
おおよそ、肉体を持つ者が出せるとは思えない轟音を響かせ、#超高速ミサイル__主人公__#は止まった。
「pj@6$\t5ga0こaGaetjw!!!」
「何言ってる全然分かりません!!
とにかく落ち着いてください!!」
総務大臣である極細うどんさんが近くまで歩き、
「なに~、ふ~ん、へ~。
うん、分かった~。ナポちゃん休んでていいよ~。」
当然のように主人公の謎言語を理解した。
「分かったんですか!?それで分かったんですか!?あなた本当に地球人ですか!?」
「説明するね~。」
「ガン無視!?ハナから答えてくれるとは思ってませんが。」
さて、『玉座の間』の中継をしてみましょう。
ナレーションさ~ん。現場は今、どうなってますか?
は~い、ボッチで二役を切なくやっているナレーションで~す。
現場は今、大変混乱しております。
茫然自失5名、狂喜乱舞は数十名、意味不明な行動をとっている者が多数。疲れ果てて燃え尽きている主人公一匹となります。
「それで、うどんさんの説明したとおりでしょうか?」
「はい、うどんがさっき説明したことがほとんどです。
なお、破亜斗さんと舞雷九さんはルーンの実装がありますので、しばらくは邪魔しない方がいいと思います。」
「ならば、わたしもお手伝いに参りましょうか。ルーンのことなら多少の手助けはできると思います。」
「ええ、今回はあなたの助力を得る為と、ついでにラーさんに報告する為に来ました。
ラーさん、ルーン関係の生産プレイヤーを総動員させますね。
ケルメオさんの方も大丈夫でしょうか?」
「もちろんだ、繊細な作業はあまり手伝えないが、単純でめんどい仕事は任せてくれて結構。」
「アクアさん、フレフレさんと一緒に艦隊を開発したのはあなたです。ご協力をお願いします。」
「手伝いますとも、ルーンはシステム上どうしようもなかったからね。
我が子たちの成長を助けるのは道理じゃないか。」
「話は纏まりましたね。では、全国一致の国を挙げての大事業を取り組みましょう。
王国に更なる繁栄あらんことを。」
「「「王国に更なる繁栄あらんことを!!!」」」
一行は勢いよく整備工場に向かった。
「自分は本当に国家元首でありましょうか……」
黄昏ている国王を残して。
新章の名前に悩みましたが、これにしました。