間話 エリスティーゼ・フィアリリー 1
少々不快になるような文章がございます。
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わたしが物心ついた時には、父親も、母親も、誰も居なかった。
わたしにあったのは、自分の体と、汚れた簡素な衣服。
ただ、それだけだった。
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わたしが居たのはアーガレアの端っこ。
今だからこそわかるが、王都から離れた遠い場所にあった、ある小屋だった。
そこに、わたしは眠っていた。
目を覚ました時、何が起こっているか分からない。
自分がどんな状況に置かれているか。
そして、自分がどんな人間であるかということも、分からなかった。
幼いながらもわたしは、どうすればいいか、そう考え、泣くよりも先に小屋の外へ出てみることにした。
当時のわたしは確か、五つ、だったかな。
わたしはまず外に出て、何かないか、だれか居ないか、それを探した。
けれど、周辺には何もなく、だれもいなかった。
その時、わたしは泣きそうになったことを覚えている。
でも泣かなかった。
泣くなんて、そんなことは無駄なことだと判断したからだ。
何もなかったら、まずは歩け。
足を使って、なにかを探せ。
心に残っていたこの言葉を噛み締め、歩き始めた。
そんな言葉を胸に、ひたすら歩っていたが本当になにもない。
小さな集落があったが、そこから生活臭はしなかった。
今から考えればそう思えるが、当時は勘でそう判断したのだろう。
つくづくへんな子供だったと思う。
そうしてひたすら歩き続け、日が昇り、暮れ、それを三度繰り返した日の朝。
わたしはついに人のいそうなところにたどり着いた。
あまり活気はないが、そこまで死んではいなさそうな街。
そんな漠然とした印象を抱いた覚えがある。
何か手がかりを求めて、そこへと足を踏み入れた。
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その街は、とても酷いものだった。
道にはゴミが平気で捨ててあり、その端っこで座り込む女性、男性、子供。
いわゆる、貧民街と言われるものであった。
人々の目からは生気が消え去り、生きる屍となっていた。
何か情報を得られないかと、そこの一人に話しかけてみた。
「ねえ、ここはどこなの?」
「ここかい? ここはねぇ、ディレイアス辺境伯の治める街だよ。名前は、なんだったっけな、ごめんね、おばさん覚えてないんだ」
「そう、教えてくれてありがとう」
彼女は話しかけたら素直に答えてくれた。
けれど、その声には生気が宿ってはいなかった。
とりあえず、今いるところの情報が掴めたわたしはさらに先に歩みを進めた。
少し歩みを進めると、そこには陽光の差す、大きな噴水広場があった。
そこの周りにいるのは、高そうな衣を着た人々。
そんな人が噴水広場を闊歩していた。
そこに、わたしは一歩足を踏み入れようとした。
そうしたら、彼らの一人がこちらをにらめつけ、こう言い放った。
「おい! だれかそこの汚いのをどこかにやってくれ!」
その声に反応したようにどこからか兵士が飛んできて、わたしを捕まえようとする。
直感的に危機を感じたわたしは、来た道を戻り、とりあえずはことなきを得た。
この時わたしは、この街はおかしい、そう思ったのであった。
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この街に入ってから時が経ち、日が暮れ、夜となった。
でもわたしは、そんなことは関係なしに街を探り歩いた。
そして得た情報が、ここがアーガレア王国領であるということ。
それだけだった。
ついに疲れ切ったわたしは、道路の真ん中で倒れ込んでしまう。
すると、前の方から誰かが近づいてくる気配がした。
「ほほぅ、これはいい、いぃ娘だなぁ。是非ともわたしが飼いたいものだ」
その声は男のものだった。
その男は従者を使いわたしを己の場所に連れ込んだ。
抵抗するも虚しく、わたしはその男の屋敷に連れていかれてしまった。
その男の屋敷に連れ帰られたわたしは、地下室のようなところへ連れてこられ、鎖に縛りつけられた。
床、天井、壁、全てに石を打ち付けただけの、簡単な牢獄。
そこに一晩放置された。
催してもそれを吐き出す穴はなく、部屋の隅で足すしかなかった。
そこで、つまらない思案を巡らせる。
なにをされるかはなんとなくわかった。
色々と大事な記憶は消えていたが、その中で残っていた記憶が告げる。
犯されるのだ、と。
世の中には色々な趣味の人がいて、中には性的倒錯の一つ、小児性愛者がいるという。
わたしをここに連れてきた男が、その一人だったのだろう。
こんな知識を知っているなんて、記憶を失う前は随分と頭が良かったのであろう。
そんな楽観的に考えていた。
この時にははっきり言って、もう疲れ切っていた。
この状況をどうにか打開できないか考えて行動したが、それは今の立場を受け入れたくないから、そう思いで動いていただけに過ぎない。
改めて実感すると、やはりひどく絶望する。
でも不思議とそんな現実を受け入れている自分もいた。
犯されるのは嫌だがそれで死なないのならば、それはそれでしょうがない。
愛されることによって少しでも長く生きることができるのならば、受け入れよう。
そう思っていた。
「待たせたねぇ。これから楽しい楽しいお遊戯の時間だよぉ〜」
突然扉が開き男が現れ、ねっとりとした気持ち悪い声をかけてくる。
わたしにそれに抗う力はない。
人は、絶対的な力の前には抗えない。
再びまた絶望する。
男は楽しみだねぇ、とこちらに話しかけてくるがわたしには愛想よく返せる気力は無かった。
男はわたしを抱え上げ、自分の部屋へと連れて行く。
男はわたしのことを舐め回すように見つめ、ゆっくりと自室へ歩っていく。
そしてついに部屋につき、その場所で着替えさせられた。
部屋に着くなり着替えさせられ、ベッドの上に寝かされたわたしは、なにをすることもなく、ただぼーっとしていた。
「君は抵抗しないんだね」
「こんな体じゃ、あなたには抵抗できません。それに、わたしには記憶がないんです。それで、あのまま行き倒れて死ぬくらいなら、愛玩動物になって死なない方を選びます」
「へぇ。君、その年で色々知ってるんだね。いいよ、その考え方、嫌いじゃない」
男は驚いたようにこちらを見る。
その体は、すでに全ての衣類を脱ぎ終え全裸であった。
そして、そこには女にはついていないものが屹立していた。
「じゃあ、わたしが今からすることもわかってるよね」
「どうせわたしにはどうすることもできない。好きにするといいわ」
そう返すと男は鼻息を荒くして飛びかかってきた。
肌を撫ぜる気持ち悪い舌の感触。
耳につく鼻息のうるさい音。
ふとももに当たる熱いもの。
全てが気持ち悪かったが、生きるためには仕方がないと、そう割り切った。
そしてついに、わたしの上半身を堪能しきった男はわたしのショーツに手をかける。
「大丈夫。痛くはしないから」
半分まで降ろされ、ゆっくりと男の逸物が近づいてくる。
ああ、ついに破瓜するのか。
知識だが、破瓜は痛いものだと聞いている。
覚悟を決める。
「行くーー」
「はい待った、ペドフィリア辺境伯」
ばんっと扉が開かれる。
聞こえてきたのは女性の声。
凛々しく、鈴のようなよく通る声だった。
「貴様ら何者だっ! このわたしがディレイアスと知っての狼藉であるか!」
「権力者はいつもそうやって自分は凄い、偉いんだ、そう宣うがはっきり言って、あなたみたいなのは、人間の屑って言うのよ。死になさい」
再び女性の声が聞こえる。
その後に聞こえたのは剣が抜かれる音、間合いを詰める音、そして、男の悲鳴だった。
「お前何者だ……! 俺に楯突いては、女王の敵になるぞっ!」
「わたしの名前なんてどうだっていいじゃないか。それよりも、さっさと女王も送ってやっから、どっか地獄で待ってろ、屑」
気がつくと彼女はベッドの隣にいた。
そして、剣をもう一振りする。
すると、ゴロンと男の顔がベッドの上に滑り落ちた。
「助けてくれたの?」
「いやいや、偶然です……って、なんで貴女がこんなところに!?」
「どう言うこと?」
助けてくれた女性に尋ねてみたら、へんな返事を返された。
「いえ、特になんでも。とりあえず、この屋敷から出ましょう」
その声に従うまま、彼女について行くのだった。
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ここから、私の歯車は回り始めた。ゆっくりとだが、確実に。
本当はこの話で終わらすつもりだったのですが、長くなってしまったので2話に致します。




