表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カタストロフ・クリーク  作者: 海風 奏
第2章 蒼槍の騎士と贄の歌姫
33/34

第9章 希望の邪破の一投。そして

第2編最終回!

戦いは終盤!楽しんで下さい!

次回予告はいつもの無視です


午後3時。水明学院理事長室。


「くはははっ!いいねえ、見事に僕の手中で踊ってくれるねえ」


そんなことを言いながら嘲笑される。

僕は阿良坂君の仕掛ける罠に無様な事に全部引っかかっている。

正直に言えばここまで思い通りに動かされるとは思ってなかった。自分では不規則に動いてるつもりでも、彼にとっては想定内でしかなかったのだ。

こちらには想定外はあったが、まあ想定内っちゃ想定内。


「これなら僕でも君を倒せそうかな」


そう言って阿良坂君は罠を設置する。そして不敵に笑った。


「うん。これでチェックメイトだ。ほら、頑張って僕の想定外をして見せてよ」


想定外、ね。僕はため息を1つ吐き《弧月》を手放し、《月読命》の〈神装〉を解除した。阿良坂君が呆れたように笑う。


「ははっ、いきなり想定外なんだけど?試合放棄か?」


無視。僕は《白い鞘》に収められた《白い刀》の名を阿良坂君に聞こえないよう呼び、顕現した。

すると阿良坂君はついに声を大にして笑い出した。


「ぶははははっ!《白夜烏》!?冗談きついよ!待って!お腹痛くなってきたんだけど!そんな人工物で何ができるっていうんだ!?」


確かに《白夜烏》は沙貴音さんが生み出した強度くらいしか取り柄のない武器だ。

《白夜烏》は。

僕は腰を落とし左手を鞘に添える。そして右手で口元を隠して長文詠唱し、柄をしっかりと握る。呼吸を整え、魔法の発動と同時に駆ける。

白き光の太刀筋の残像を残す神速の一閃。それが阿良坂君を深めに斬りつける。


「え…ごッ、なん、でッ…」


「何で、罠が発動しないかって?簡単だ。感知できないほど、僕が《速かった》んだ」


驚愕してか、目を見開き、声を発することなく沈む躯体。それを確認してから、僕は膝をついた。硬化魔法を使ってこれだ。使わなければ、動けないだろう。

きつい。が、こんな所で止まってちゃいけない。ラボには二波理事長が向かってしまった。

僕は痛む体に鞭を打ち、阿良坂君に止血魔法陣紙を使用してからラボに向かって1歩づつしっかりと歩いて行った。


***


同刻。ラボ内。

絶望が、場を支配していた。誰一人として二波理事長に一太刀浴びせることすら叶わずにいた。


「つえーな、流石だわ」


「足止めすらできてないから、隙を作って破壊も無理でしょうね」


八雲がそう言い、ため息をつく。どうにかして、足を止めることはできないのか。

と、考えを巡らせていると、入り口から誰か入ってくるのが見えた。


「遅かったな。阿宮」


「バイクぶっ壊されてたんすよ。んで、もう取り掛かります?」


「ああ、設置を頼む」


そこで、肩に担がれているが誰なのかを認識する。ミナだった。


「ッ!ミナが!レンが護衛してたはずなのに!」


「ああ、あの女レンって言うのね。つまらねえ槍捌きしやがったから、ぶっ飛ばしてやったよ」


つまらない槍捌き?あのレンが?


「まあいいや、設置するんでよろしくです二波理事長」


「ああ、足止めだろ?余裕そうだ」


「ッ!みんな!止めるよ!」


「ッ…おう!」


ハヤテが気合を入れるように声を発し、炎を剣に収束。《津羅》に触れると同時に開放。爆炎が荒ぶる。しかしその威力をもってしても尚、突破できぬ壁がそこに立ちはだかる。


「ッ!《クラウン》!」


指示を出し、10機の《クラウン》の銃口を広範囲に攻撃できるように構える。そして、咆哮のような轟音を響かせ、フルパワーの砲撃が二波理事長に炸裂。たが、それでも擦り傷程度。煙が立っても気配を察知され、隙を見て突っ込んだ八雲を乱雑に薙ぎ払った。


「ッ…これは無理ですね」


高火力の連携を繰り出そうと、遠近の連携を繰り出そうと、全て捌き切られる。次元が違うとは、このことだろう。

そうこうしている間に、ミナは装置に固定され、起動されるのを待っている状態になっていた。ここまで来てしまったらやることは変わってくる。トー君が来てくれることを祈って。


「みんな!トー君が来るまで全力で二波理事長を止めるよ!」


完全に止まらなくとも、少しでも到着を遅くできればそれでいい。皆全力で足を止めることだけに専念する。

それを鬱陶しく思ったのか、不快そうに二波理事長は表情を歪めた。


「小賢しいな。【流せ】」


剣技もクソもない乱雑な一振りと詠唱。それだけで何も無い周囲に小規模の津波が発生し、激しく押し戻す。

流石に、限界だった。それもそうだ、全員の全力でやっとギリギリ互角なのだ。その全力は大した時間持つわけなく、崩れる。

そうやって諦めた。1人を除いて。


「【監視者権限発動】」


「《偽完全防御魔法陣イモータル・イージス


「【海を裂け。我が絶刀】」


「《海覇豪列刃かいはごうれつじん》!」


飛来する斬撃が、サラの前に展開されている《偽完全防御魔法陣イモータル・イージス》に殺到する。そして触れた刹那、呆気なく最強の盾が崩れた。その隙に二波理事長はサラとの距離を詰める。

高速の一閃。だが、その一閃はサラに届かない。光速の一閃が、サラと二波理事長の間に割って入ったのだ。

それがトー君だと、私は気づくのに数秒を要した。

いつもの暗い紫色の髪は白く染まり、長く、《月読命》の濃い紫色の甲冑でなく、天女を連想させる、純白に輝く袴。背には日輪の輪。刀は純白。そしてこちらを見たトー君の顔は少しばかり幼く見えた。


***


皆が、困惑していた。無理もない。〈神装〉を纏ってしまえば、ほぼ別人とも言える姿になる。まあ今まで使わなかった理由は、それではないが。

誰も、何も言葉を発しない中、二波理事長が口を重々しく開けた。


「何故、だ…何故お前は天然の《神装印》を2つも有している!?まさか、沙貴音の言っていた、最高傑作はその《天照アマテラス》のことだったのか!?」


「それは、違う。沙貴音さんの言う最高傑作は、僕自身のことを指す。2つ目の天然の《神装印》を埋め込むという、1種の魔力改造の産物である、僕をね」


「そんなこと、許させるのか!?」


「それはこちらのセリフでもありますよ、二波理事長。禁止薬物の使用。貴方の《海神》の水を検査した結果、微量の薬物を検出。魔法に薬物が漏れ出ているのは、かなりの量を摂取した証でもありますが?」


そう言って、陽性を示した簡易検査機を見せる。


「ッ!?」


正直言えば、小道具を使って言ってみただけの当てずっぽうだ。否定せずに図星を突かれた表情を見る限りでは、脳の機能が低下しているように見える。


「もう、終わらせましょう。こんなこと」


「まだ、ダメなんだッ…!まだだああああああああああああああああッ!」


二波理事長は、理性が壊れたかのような、凶暴な剣技で、僕に襲いかかる。

僕はそれを前にして、ゆっくりと目を閉じるた。その刹那、日輪の輪を強く短く発光。それにより生まれた数瞬の隙に深い一閃を叩き込む、が安易に防がれる。目を見やると、淡く輝いているようにも見えなくもなかった。

解放を使用している。ならばと、僕も解放を使用した。

音速を軽く超える剣戟。くうは斬られ、風切り音はほとんど聞こえない。在るのは金属音と、魔力衝突による波動。

そんな超次元の剣戟の中、僕は確実に押されつつあった。

これは、まずいな。でも多分もうすぐで、休憩を挟めるだろうか。近づく気配を感じながらそんなことを思う。その数秒後に、小さな振動が、ラボ内に伝わる。流石に、二波理事長が攻撃をやめた。徐々に振動は大きく、ドドドと、音が聞こえる。

そして、閉じていたラボの扉が、派手に壊される。舞う砂埃。その中から、1人の人物が飛び出した。


「チッ、阿宮、片付けろ」


「了解。まーたあんたと戦うのか」


「もう、あの時の私ではないです。再戦…始めましょう、レン・アウクルス、参ります」


2度目の戦いが幕をあげた。それを横目に、僕は地面と水平に刀を構えた。


***


2つの戦場が、激しさを増していく。何かできることはないのかと、サラはそればかりを考えていた。レンは今のところ互角。だが、トー君は押されている。もう限界が近いようにも見える。


「サラ」


「…風歌さん」


「…助けられるよ。サラなら」


「無理、ですよ。解放でも使えない限り」


そう言って俯くと、頭を鷲掴みにされる。雷切さんだった。


「んじゃ、解放のコツを教えてやる」


「そんなのなくない?」


「まあない。気持ちの問題だよ。考えてみろ。失いたくねえだろ?」


「ッ…!」


「行ってこい。隣に、立ってやれ」


コクリと頷く。

助けたい。トー君の隣に立って、支えてあげたい。

死なせたくないッ!

スッと息を吸う。そして、言い放つ。


「《メタトロン》解放」


刹那、淡い光に、辺りが包まれた。


***


淡い光が満ちて、消えた。僕も、二波理事長も手を止めてしまっていた。

そこにいる神々しい光に、釘付けとなった。

まるで熾天使のような、その姿に。


「…サラ?」


「一緒に戦うよ、トー君」


僕は知らぬ間にふっ、と笑っていた。頼もしいことこの上ない。


「ありがとう。僕が道を開くから、サラが決めてくれないか?」


「うん。わかった。信じるね?」


「うん。じゃ、行こう」


僕は隙を作るだけでいい。何としてでも、作ってみせる。

僕は一瞬で距離を詰め、至近距離戦に持ち込む。離れることを許さず、常に距離を詰める。そんな中でも、サラは迷わず援護射撃を行う。10.7ミリ魔力弾が僕に当たることなく的確に二波理事長を捉える。そこまでの精密射撃を10機同時に行なっているサラは本当に規格外だと思う。

お陰で、隙が見え隠れしてきた。


「《水蓮寺流金剛・光牙富嶽こうがふがく》!」


水蓮寺流の中で最も重い1撃は、流石の二波理事長も踏ん張りきれなかったらしい。ラスト、畳み掛ける!がーーー

動かなかった。体が、特に足に力が入らない。瞬時に限界がきたのだと察する。思ってたよりも、早かったッ!

どうしたら良いのか、考えるために脳をフル回転させようとした時、《歌》が聞こえた。

ミナが、目に《碧》の光を宿しながら、歌を紡いでいる。お陰で、体力と魔力が回復する。これなら、撃てる!僕は極大魔法の詠唱に入った。


「【我が一閃は、邪を切り裂く煌炎の一閃。我通る道、希望に繋がりし歩むべき道】!」


「ッ…まとめて殺してやるッ!【遍く全ての水よ。我が全霊に答えよ。呼ぶは大自然の災厄。全てを流す津波とならん】!


《海神》には、2つの極大魔法がある。対軍と、対人の極大魔法が。今詠唱したのは対軍の方。ならば勝てるッ!


「《邪破聖閃じゃはせいせんきょくのけん》!!!」


「《海覇刹羅かいはせつら津波竜破つなみりゅうは》!!!」


交錯する。その刹那大爆破が起きる。その中に、サラが飛び入る。


「【穿て。我が1撃は邪を滅する一手。滅ぼす辣炎】!」


「【下せ】!《ヴィイシャル・ノヴァ》!!!」


連結した《クラウン》から放たれる1撃は二波理事長を捉え、吹き飛ばした。

それを確認してから、僕は叫ぶ。


「レン!」


***


互いに正確すぎる槍捌き。一歩も譲ることがなく、硬直した状態だ。

そして正確すぎるが故に。


「はあああッ!」


「ふッ!」


槍の先端同士がコンマ数秒合わさるのも、1度や2度ではない。

私は目を《蒼》に光らせるが、それでも優位に立てずにいる。


「面白え、やっとやる気出てきたわ」


途端、槍捌きの速度が増す。防ぐのに手一杯で、攻めることができない。何とか振り切ろうとしても、振り切れない槍の雨。

致命的な傷は負っていないが、体中に切り傷ができ、その数が増えるほど痛く、動きが鈍る。だが、ただ受けているだけではない。時を、待っている。

深い攻めを。

戦場の熱気が熱くなるのを。

刹那、《ゲイボルグ》が発光を始める。ここだ。彼は、終わらせにくる。

《ゲイボルグ》の間合いに入り込んでくる。だが同時に私の間合いでもある。


「【荒ぶれ】《風壁斬刃グリームニール・切りスシュレイム》!!!」


暴風が吹き荒れ、間合いにいた彼を切り裂き吹き飛ばす。腕を集中的に狙って。


「ちっ、左腕使いもんになんねーなこりゃ」


これで、また互角にやり合える。あともうひと押しは、アレを使えばいい。詠唱を開始しようとした瞬間、《歌》が、聞こえた。同時に私の目が2色に染まった。《蒼》と《碧》。それらは合わさり一つとなる。

《蒼碧の神眼》へと。そしてその使用権限は私にあった。

魔力容量を共有し、効果値が上昇する《蒼碧の神眼》を展開しながら、《歌》を紡ぐ。

魔力を馬鹿食いすることを。と、呆れつつも感謝する。必ず、仕留める!


「【我に力を】《強制解放魔法陣》展開!」


簡易的な装甲はちゃんとしたものとなり、蒼のローブを纏って、装飾が増えた神槍を構える。


「【軍風よ、我が神槍に纏て、敵を捌かん】」


「ッ!《クー・フーリン》解放!【我が槍、死を与えし死槍とならん】」


「《軍風神槍飛駿グリームニーラル》!!!」


「《絶死槍ゲイ・ボルグ》!!!」


眼による補正と、沙貴音さん特製強制解放のとんでも倍率。それらが影響した、台風を凝縮したような暴風に為すすべもなく、阿宮は吹き飛んで行った。


「レン!」


呼ばれる。まだ、終わっていない。

力を振り絞り、槍を投擲する構えを取る。


「【貫け。我が神槍は邪を消す邪破の槍とならん】ッ!」


「《消滅の神槍グングニル》ッ!!!」


放たれた槍は、核兵器を貫き、消滅させた。


***


「…勝った」


サラがぽつりと呟いた。皆も少し脱力状態にあるが、まあ終わったんだ。良いのではないだろうか。


「まだだ」


はっきりと、そう聞こえた。

刹那、ミナに向かって行く人物が目に入る。二波理事長が確実にミナの首を狙っていた。突然のことで、誰も反応できなかった。ミナに迫る切っ先。

だが届くことなく、地に落ちた。


「もうやめにしましょうや。あんたの目的、《歌姫》を殺すことじゃあないでしょ」


止めたのは阿宮先輩であった。


「もう1度、言いますよ。やめにしましょう。二波理事長、敗北宣言を」


その言葉に、そしてその鋭い眼差しに、二波理事長は項垂れ、無線を繋いだ。


「…皆武器を収めろ。我々の……敗北だ……」


終わった。戦争が。終わった。


「皆さん、行きましょう。刀夜さん、お願いね」


「了解」


八雲さんに言われ、思い出す。そういえばと。僕はほとんど出払ったのを見てから話しかける。


「二波理事長。お話があります」


「なんだ」


「僕は沙貴音さんから、交渉するようには頼まれていまして、今回の騒動を学校間の大規模なウォーゲームとして処理する代わりに、条件を飲んで欲しいんです」


「条件?」


怪訝な表情をする二波理事長。続けろと言わんばかりに僕を見据える。


「…まず、聖戦のことで、貴方を含めて600人ほど、兵の支援を頼みたいのと、僕とミナのことを黙っておいてください。

もちろん薬物のことは公開しません。その代わりにしばらく沙貴音さんが監視についちゃいますが」


「……………わかった。条件を飲もう。帰れ」


「…………ありがとうございます」


さて、サラたちと合流し…あれ?そういえばサラは今日初めて解放を使って…ッ!


「サラ!」


僕は痛む体に鞭を打ち、走って追いかけようとしたが、サラだけ案外近くにいた。


「ど、どうしたのトー君」


「どうしたじゃなくて大丈夫なの!?解放使って、魔導脊髄は」


「あ、それがね、リューネさんに診て貰ったんだけど、無傷なんだって。常人より強いらしくて」


朝ごはんの話をするようなテンションで言われ、力が抜けそうになるのを堪える。


「そうだ、帰りだけどね、セリアリス先輩、行きで飛ばしすぎて魔力ないからもう少し待っててって言ってた。だからね、トー君」


「ん?」


「…ちょっと向こうでお話ししない?」


「…?いいよ?」


そして向かったのは、水明学院の外壁の上。厚さが10メートルくらいあり、余裕で歩ける程のスペースがある。


「で、どうしたの?」


「うん、なんかね、勘違いそうなら、そう言ってね?」


「うん」


「私にはね、トー君が私たちが見ている先よりもっと先を見ている気がするの、体はここにあるのに、心が少し遠い気がするの」


目の前に立ったサラが、僕の手を両手で包みながら、そう言った。勘違いではないため、僕は否定しなかった。


「確かに2つ、みんなより先を見ているかな。…ねえ、この話、誰にもしないって誓える?」


「うん。誓えるよ」


「なら、言おうか。聖戦は、暗黒神を倒しても、終わらないんだ。何故なら暗黒神は、《終焉神》と呼ばれる神によって、生み出されているから」


「ッ!なっ、なんでトー君がその情報を!?」


僕は少し言葉に詰まる。ずっと前から勘付いていたことを。言わないように、考えないようにしていたことを、言うから。


「この情報は《国連機密》。この情報を誰かに告げる権限を持っているのは最高司令官のみ。特定の条件を満たした人物が知っているいるらしいけど、合っていたとしてもわからない。それなのに何故僕がこの情報を知っているのか、少し考えただけで予想はできた」


僕はギリと歯をくいしばる。ここで言わなくてはいけない!!!


「知っている人に聞いたとこがなく、でも知っている。そうなると、僕は…僕はッ!」


ここまで言ってやっと、僕と同じ考えまで達したのか、サラが目を見開く。


「トー君、やめーー」


「暗黒神と、それを生み出す終焉神の、どちらかと言うことになるんだッ!!!」


静寂が包む。それが嫌で嫌で、僕は口を開く。


「このことを話して、サラの気が変わってしまったらどうしようって、考えてしまったんだ。でも想像がつかなくて、それが余計怖くて、言えなかった…僕は、サラの好きな刀夜でいたかったから…………」


泣きそうになるのを堪え、言葉を続ける。サラの返事はない。が、その代わりに、抱きしめられた。

訳もわからず目を白黒させていると、優しい声音が響いた。


「私、言ったよね?トー君はトー君だって。何者でもなく、私の好きな人なんだって。本気なんだからね?なんらかの言葉の綾とかじゃなくって、本気で、好きだからそう言ったんだよ?」


「………うん…あり、がとう」


「うん。…今まで、言えなくて、苦しかったでしょ?いいんじゃないかな。今日くらい」


「…え?」


僕は顔を上げる。するとにこやかな笑みを浮かべて、サラが僕を見ていた。


「だーかーら、いいんだよ?私の胸で泣いたって、受け止めて上げるさっ!」


と、笑ってそういう。でも僕は笑うことができなくて、嬉しくて、言葉に甘えて、サラの胸でみっともなく、泣きじゃくる。

それをサラは優しく頭を撫でながら、抱きしめた。

数分経って。

サラは思い出す。『2つ』と述べていたことに。


「そういえばトー君?2つ目は?」


「……………サラとの、将来」(ボソッ)


微かに聞こえたその言葉に、サラは感激し、思いっきり強く抱きしめた。刀夜が息ができなくなってしまっているとつゆ知らず。


刀夜の核心に迫りました。これかなり最近思いついた設定だったり。

『カタストロフ・クリーク』がここまで来たんだなと思うとなんだか感激!

次編予告はエピローグにて。

ではエピローグをお楽しみに。今から書きます!

それと

ちょっとした言い回しに注目してもいいかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ