第7章 激化する戦場
いい題が思いつかなかったのでシンプルに次回予告通りに!
金属が交わる音が絶えず響く。当たり前だ。こちらが8人なのに対して向こうは少なくとも400はいる。いちいち相手をしていては、時間の無駄でしかない。
「ッ…刀夜!ここは俺らに任せて行け!んな所で体力使うのは無駄だ!」
「わかった。任せた」
僕は跳躍し、水明学院の生徒たちの頭上を越えて、校舎を目指す。
「9、10班は水蓮寺を追え!その他は何としても足止めしろ!」
当然追ってくるか。校舎にも何人かいるだろうから、サラたちと距離が空いたら殲滅するか。
3、2、1とカウントし、ゼロで体を捻り敵と向かい合う。約50人。15秒で決める。
「《水蓮寺流宵月・大円旋風》!」
僕は速度を上げ敵の中央へ。そして魔力濃度を下げた魔力斬撃を円形に繰り出す。残り30人。
「【連鎖】《水蓮寺流宵月・追辻斬》!」
水蓮寺流の有名なコンボ技を10人程固まっている方に向かって前方遠距離の魔力斬撃を繰り出す。あと…19!
「《水蓮寺流金剛・飛岳》!」
斬りかかろうでしてきた敵に向かって前方に大きな牙のような物体を地面から突出させる。残りは16か。ここまで減らせたのなら、身体強化のみで行ける。
息は合っているものの遅い。母さんの方が数倍速いッ!
「はああぁッ!」
鳩尾や首を殴る。気絶しなくとも、痛みに苦しんでくれればいい。
ジャスト15秒。よし、急ごう。
僕は継続加速魔法陣を使って走る。校舎に着くと、昇降口には見張りをしている生徒が3人いた。ここは急接近して、一気に倒そう。僕は聞かれないように小声で詠唱する。
「【影移るは刹那なり】《影疾》」
位置設定は真ん中にいる奴の目の前。そして1歩踏み出した。その時点で僕がいるのは設定した通りの場所だ。
「なッ!」
「隙あり」
掌底、蹴り、蹴りを3人に的確に急所に命中させる。あまり力を入れたつもりはないが、痛いっちゃ痛いはず。
おっと、止まっている場合じゃない。二波理事長を探さなければ。何処にいるかわからないため、虱潰しに当たるしかない。
待て、冷静になれ。慌てちゃダメだ。1度《読見の審判》を試そう。わざと察知されてくれるかもしれない。
「……やっぱ、誘ってるな」
6階の奥に1つだけ無駄に広いスペースがあり、そこに二波理事長を感知した。案の定、わざと索敵にかかってきた。
「誘われるがまましかないよな」
僕は覚悟を決めて、一直線に二波理事長の元に向かい、躊躇うことなくドアを開けた。
「待っていたぞ。水蓮寺」
「初めまして、二波理事長」
「ああ。では始めようか」
「そうですね。始めましょう」
「…何処からでもかかってこい」
僕は少し躊躇ってから、《月読命》の〈神装〉を纏った。もしものために。
「い、けッ!」
「《海神》、《津羅》」
加速魔法陣を5重に組み、突撃。それと同時に二波理事長は《海神》の〈神装〉と武器を顕現させた。そして、ギィンッと高い金属音が響く。
理解が一瞬できなかった。何故、自分の体勢がこんなに崩れているのか。
「ぐッ!?」
「甘いッ!」
「ッ!?ぐあッ…」
僕は二波理事長の重い一閃を辛うじて防ぎつつ、利用して距離を取る。
「どうした。こい、格の違いを教えてやる」
圧倒的過ぎるパワー。どう戦うか、僕は迷っていた。
***
同刻。サラ一行。
「ッ!そろそろ私たちも、ラボに向かい始めないと!」
「サラちんのおっしゃる通りで!ハヤテなんとかして!」
「俺任せかよ!?ああわかったよ!」
やけくそ気味に言ってハヤテが剣を両手で握る。
「【包め、我が灼熱。我が身守りし煉獄の鎧とならん】!《灼煉鎧》!」
ハヤテが詠唱を終えると、ハヤテの身を炎が包む。
「俺に続け!突っ込むぞ!」
ハヤテが走り出すと同時にみんなハヤテに続く。狙い通りに皆ハヤテを避ける。ただ1人を除いて。
「野蛮な方ですね」
ハヤテが急停止した。氷壁にぶつかって。
「はぁ!?まじか」
「あちゃー、やっぱりいるね」
「龍双?」
私は前に出る龍双を見て、はてなを浮かべた。それを見た龍双はニィッと笑った。
「ここは俺に任せてちょ。勝てるから。さて、始めようぜ、銀髪イケメンの《絶対零度》君?」
「どなたか存じませんが、いいでしょう。一瞬で終わらせます」
「わかった。みんな、強行突破!ラボに向かうよ!」
「皆さんで遊びましょうよ」
「んにゃ、遊び相手は俺1人で十分だ」
そう言って、《絶対零度》唐木零斗の作り出した氷壁に針を投げた。そしてその針が刺さった刹那、氷壁が『一瞬で溶けた』。
「なっ…」
「驚いた?俺、やればできるから。遊ぼーぜ」
「いいでしょう。他の皆さんはラボに向かった者を追いなさい」
「こいつのために来たようなもんだからなあ。気合を入れねーと」
そう呟いて、龍双は目を見開き踏み出した。淡く紋章を、その目に浮かばせて。
***
「ラボに着いたが、やっぱりいるのか」
ハヤテが冷や汗を流し核兵器と思われる機会の前に佇む人物に目を向ける。
白金博堂。世界一の硬化魔法の使い手だ。
「何としてでも死守しろ。いいなッ!」
『おおッ!』
「白金は俺が相手しよう」
《雷切丸》を抜刀し、先頭に立つ雷切さん。そして、その隣に並び立つ人物が1人。
「私も手助けするよ」
「風歌…」
「いいでしょ?約束だしさ」
「好きにしろ」
「はーい」
***
午後2時45分聖命学園。
「レン、どこに行くの?」
「なるべく、人目につかない所だよ」
現在、私は聖命学園の地下施設の最深部を目指している。そこならば、安全なはずだ。
「安全な場所ってのはな、戦場にありゃしねーぞ?」
「ッ!」
いた。長身の紺色の長髪を後ろで纏めている男が1人、そこにいた。
「何でって顔してんな。簡単だ。他の場所より比較的安全な場所を探しにきただけのこと。俺が運良くてお前らが運が悪い。ただそれだけでもある」
「ッ…ミナ下がってて」
「お、やんのか?まあ同じ槍使いだし、有意義な時間になりそうだな。お手柔らかに」
「《オーディン》!《グングニル》!」
「《クー・フーリン》、《ゲイボルグ》阿宮宮司、推して参る」
「やあああああああッ!」
「おっと、威勢良すぎね?落ち着…うわっ!?」
勝たなきゃいけない。負けたら、ミナがッ!
「狂気的。だが槍捌きは冷静そのもの。そーゆー才能なんだろーな。羨ましいぜ」
そう言いながら的確に私の攻撃を捌き切る。見切られている。
「そろぼち反撃いいか?」
と、阿宮が言った直後、私の《グングニル》が大きく弾かれる。
「【我を守り給へ。軍風の神】」
「《風壁斬陣装衣》」
「うぇい、あっぶな。便利なもんもってんなぁ。なんじゃそりゃ」
どこか遊んでいるようなそんな感じに私はイラつきが募るばかり。連撃速度が速くなるが、精度が落ちていく。
「………つまんな。ちったぁまともに振れねえのかよッ!」
「ッ!?」
突如として乱暴に振るわれる槍。今までの的確で丁寧な槍捌きじゃない。
「頭くる槍遣いしやがって。無駄な時間だったわ」
「【我投げ穿つこの槍、無数になりて降り注がん】」
阿宮が詠唱を終えた瞬間、《ゲイボルグ》が淡く発色する。
「《降槍多落》!」
投擲された槍は、突如十数もの槍に増え、私に降りかかる。
「ぐぅあッ!!」
「お前の負けだ。《歌姫》は貰っていくぜ。恨むなら…てめえの実力不足を恨め」
負けた。負けてしまった。
「さて、さっさとずらかるか。抵抗しないでくれよ?」
遠くなる、ミナの後ろ姿。見えなくなった所で、意識が途切れた。
***
「レンには荷が重かったか」
「そうね。どうするの?沙貴音」
「もちろん戦わせる。こんな所で寝て貰っちゃな」
「優しいね」
「なあに、ただ実験台にするだけさ。じゃ行くか。ついてこい。セリアリス」
「了解です」
まだまだ戦闘が続きます。
次回のサブタイトルまだ決まってないので、お楽しみということで…
近いうちにまた投稿したいと思っています




