第6章 戦いの幕が上がる
字数が少なめです。パッと読めます。
では楽しんで下さい。
深夜の3時頃。敵陣に攻めるメンバーが、理事長室に集められた。
一部は眠そうにしている中、僕は召集の理由を聞いた。
「どうしたんですか」
「9時間後に、仁が兵を進行させると言った。だから私たちはもう始めようと思う。と言いたいところだが、行けるか?」
「眠い人たちは眠くない人が担いで行けばいいんじゃないですか。そもそも、いいんですか?」
「こちらも正々堂々と勝負するとは言ってない」
「せこいっすね」
「戦争にせこいもクソもあるもんか。早く行け。こっちと違ってあちらは街中にある。事を大きくしないようにな。向こうも大規模な消音魔法をかけているとは思うが」
「分かりました。行こう」
「あー、怠い」
「行きたくないなら行かなくても良いんだぞ龍双?」
「いえ!行かせていただきます沙貴音さん!」
そんなやりとりを見て僕と八雲さんはクスリと笑ってしまう。
「じゃあ、行ってきます」
「ああ。頼む」
***
水明学院はここから歩いて約半日。敵の索敵可能範囲までは走る。そしてその索敵可能範囲は僕の《読見の審判》で割り出す。予想だが、9時間はかからないだろうと思う。
「眠そうなサラとリューネさんを誰が背負う?」
「俺と刀夜と風歌さん以外が良くないか?今後的に」
「リューネは俺が背負う」
「ではサラさんは私が」
「ありがとうハヤテ、八雲さん。じゃあ出発だ。時間も時間だから警察の人の目を避けるため、結界外を移動するよ」
『了解』
フォーメーションは僕と龍双が先行、真ん中にハヤテと八雲さん、そして背負われているサラとリューネさん、後ろに風歌さんだ。
最初、特に気にせず魔物を倒しながら疲れないように且つ素早く進行を続ける。
そして約2時間、休憩を挟みながら走った所で、最初の節目だ。
「みんな、ここから敵の索敵可能範囲だ。魔物に気づかれないように進む。龍双、分かってるよな」
「アサシネイト、だろ?分かってるよ」
「なんでんなコソコソすんだ?」
「ハヤテはパワーで圧倒するタイプだから知らないのか。魔物が人間に気づくと、特有の魔力の高め方をするという研究結果が出てるんだ。それでなんだっけ?」
と、龍双に振る。龍双は覚えてねえよと言いながらタブレットを開く。
「ええと、それを索敵に活用するんだ。特有の魔力の高め方があった場所をピンポイントで索敵することによって場所を把握できるってやつ」
「見つかっちゃまずいのか?」
「まずいね。二波理事長の神装印《海神》は唯一の遠距離魔法の《水針》があってね、ここでも届く。しかも一度位置バレしたらずっと補足される。長い道のりを降りかかる殺意を受けながら全力疾走するのと、バレずに徐々に進むの、身体的にどちらがいいかわかるだろ?」
「確かに、戦闘が控えてるのもあるし、後者の方がいいな。おけ、理解した」
「じゃあ行こう。あまり喋らないようにね」
僕は手を軽く上げ、前方に振る。隠密行動の開始だ。
僕は《読見の審判》をフル活用して索敵を行う。そして状況を判断し、進むか少し止まるかその都度指示。接敵しそうならば僕と龍双でバレないよう殺す。
その作業を繰り返しながら少しずつ目的地に近づく。そうやって1時間が経過した。サラとリューネさんはが起きた頃。
「なあ龍双」
「ん?」
「やけに魔物が多くないか?」
「あー、確かに。予定よりもまあまあ遅れてるもんな」
予定では今登っているこの山の頂上に到達し、下るはずだった。それがまだ登り中でしかも中腹。これから徐々に遅れてしまうとなると、9時間くらいかかってしまうかもしれない。そうなると到着は午後3時。一方で水明学院は12時に出発しても約2時間で聖命学園に着く。魔導兵器の技術に関しては、脱帽するしかない。
「どーする、刀夜」
「どうするかと言われても、変えないよ。街に出るまでは。時間はかかるだろうけど、仕方ない。一応急ぎ目で行こう」
「そだな」
それから僕たちは警戒を強め、そして小走りで進んだ。感知された気配はない。だが、一向に魔物は増える一方で、大して進めていないのが現状だ。
「餌かなんかで釣られたんだろーな、この量」
「それ以外ないね。早く山を抜けよう」
予想では午後2時頃に抜けられる。その時点で聖命学園では戦闘が始まっているだろう。耐えてくれればいいが。
僕たちは祈りながら歩を進める。そしてあっという間に午後2時。僕たちは街中に出ることができた。
「こっからは30分で着くと思う!」
「《水針》は?」
「こんな街中で、殺人なんて起きてみろ、向こうは公にしたくないから心配無用だ」
「それもそうか。じゃあ行こう」
同刻、聖命学園。
「Aー5地点結界濃度減少しました」
「結界維持要員を増やせ!結界だけで最低30分稼げ!狙撃班、攻撃を始めてよし!やれ!」
水明学院の生徒が到着し、戦闘に入った。
現在、結界による足止めを行なっている。30分と言ったが、15分程度しか止められないだろう。そう判断した沙貴音は早々に戦場に姿を見せた。
「《毘沙門天》解放」
第五次聖戦以降、一度たりとも使わなかった解放を行ない、詠唱を始める。
「【我が《叡智》よ、我が《想像》と《創造》よ、我が声に従え】」
「【目覚めの時来たれり。聳え立つは我が宝塔。我構えるは我が宝棒】」
「【《叡智》はここにあり。《想像》し、《創造》せよ。災厄を退け、そして巨万の富を民に】」
「【全権限発動】《毘沙門天・権限開放》」
詠唱が終わり、沙貴音は《三昧耶形》を地に突き立てる。発動するは世界一の支援及び妨害型極大魔法。欠点は発動してから準備時間に入る。約15分という微妙な時間が発動のタイミングを迷わせるのだ。
早過ぎれば沙貴音の魔力が持たず、遅過ぎれば手遅れとなる。
そして、15分が経過した。結界が破壊される音と共に、沙貴音の極大魔法も機能を始めた。
その効果は、自然回復能力上昇。魔力自然回復能力上昇。全身体能力微上昇。魔法による被ダメージ減少。スロウ効果。幻惑効果。使い魔の召喚。これらが全て同時に行え、継続できる。
そしてそれに合わせるように、旗が掲げられる。刀夜の義理の姉の優香だ。
「【我が主よ、我が祈りを捧げましょう。我欲す恩恵は、皆を照らし、守る希望の光】」
「【嗚呼、我が身焔に包まれようと、我皆を想う。光あれと】」
「【天啓を。祝福を】《聖処女の御旗のもとに》!」
詠唱が終わると、掲げられた御旗が輝きを放つ。《ジャンヌ・ダルク》の防御支援型極大魔法。効果は自然回復能力大上昇。身体防御力特大上昇。無敵効果1回。状態異常効果時間微減少。欠点は、使用者へのダメージ。それは瀕死に値する。側で待機していた美咲が回復を始めた。
これで戦う準備が完璧になった。
「交戦開始ッ!」
午後2時15分。ここから戦いは激化していく。同刻、刀夜率いる攻撃部隊は予定していた午後2時半より早く、水明学院の前まで来た。門の前に生徒が1人いる。
「お待ちしておりました。ではこちらに」
そう言って門を開け中に誘導する。外から見ればようこそ、といった雰囲気だ。
僕たちは誘われるがまま中に入った。徐々に門が閉まる。そして完璧に閉まった刹那ーー
「戦闘開始だッ!」
僕が叫ぶ。
「ラボに近づけるな!」
水明学院の生徒が叫ぶ。
戦いの幕が、上がった。
これから戦闘は激化しますよ!
次回はどうしましょ。
シンプルに「激化する戦場」でいいかもですね。




